物語の舞台は1913年、南フランスのプロヴァンス地方。誰も足を踏み入れないような荒野で、水を求めて歩き続けた「わたし」は、ある「男」に出会い泊めてもらいます。たった一人で山中の廃屋を修理しさっぱりと片付けた部屋に住み、羊と犬との簡素な生活を送るその男の日課は、水に浸した100粒の無傷のどんぐりを毎日毎日、荒地に埋め続けることでした。誰の土地かなど関係なく、不毛の土地にひたすら木を植え続けた結果…。
名誉も報酬も求めない、人知れず淡々とした無私の行いの偉大さを感じます。誰もがこんな風に生きられたら、どんなにか平和な世の中になることでしょう。
推薦者:田野辺淳子(絵本の家「ゆきぼうし」副代表。「ゆきぼうし」のある守門村(現魚沼市)で子育てをするため、2001年に新潟市西区から家族で移住。以来、「ゆきぼうし」スタッフの活動を続ける。現在は、高校で書道講師として勤務。)