大人の本棚・こどもの本棚

こどものとうひょう おとなのせんきょ

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衆院選の投票日が近づいてきましたが、この機会に、「民主主義」の基本についてかかれた絵本を読んでみませんか。

児童館の小さな広場で、大勢の子どもが遊ぶうちにトラブルが増え、大人の選挙をまねて投票で使い方を決めることにしました。その結果、票が一番多かった野球が優先され、チームが使わないときは、票の多い順にドッジボールやソフトボールをすることに決まりました。ところが、少数意見だった鬼ごっこや他の遊びが自由にできなくなり、不満が爆発、大げんかになります。

そこへ6年生のトキあんちゃんが登場し、多数決で決めたと主張する野球派を一喝!「かずが おおいから、いいんじゃなくて、たとえ、ひとりでも いい かんがえなら、みんなで だいじにするのが、みんしゅしゅぎの いい ところだろ。」「それを まちがえると、かずが おおい やつが、かってに いばったり、わるい ことを しだすんだよな。」と。そしてトキあんちゃんは、解決策として、ある提案をしてくれたのです。その方法とは?

「民主主義」について、小学生にも身近な状況を例に、シンプルかつ非常に分かりやすく解説してあり、大人も納得させられます。

あとがきもぜひお読みください。作者のかこさんは、「民主主義の神髄をとりもどしたい」という強い願いをもち、私たち大人の反省も促しています。子どもも大人も、読んで考えて行動したくなる1冊です。

田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)

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