ぬいぐるみのコールテンくんは、おもちゃ売り場で、誰かがうちに連れていってくれるのを待っていました。ある女の子がコールテンくんを一目見て好きになりますが、お母さんに、ボタンが取れてるわと言われ、あきらめます。その夜、コールテンくんはボタンを探しに、デパートの中へ出かけて行きました。
命を吹きこまれたようにおしゃべりし、動き出すコールテンくん。子どもたちは、かわいくて好奇心いっぱいのくまの子から、目がはなせなくなります。
翌日、女の子は貯金をはたいてコールテンくんを買い、家につれて帰りますが、二人の会話がとても素敵! 「ぼく、ずっとまえから ~したいなあって おもってたんだ」と言っていたコールテンくんと、優しい女の子の願いが一気にかなう、幸せな結末です。
訳者の松岡享子さんは、著書『えほんのせかい こどものせかい』に、「絵本のもっているさまざまな要素のうち、わたしは、わけても“あたたかみ”を大事に考えます。」と記しています。その“あたたかみ”をたっぷり感じられる絵本です。
田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)