山姥のむすめ、まゆ は雪解けの始まった春の日に龍の親子と出会います。
春一番の雨を降らせるという龍の仕事を、空に舞い上がる龍の背に乗って手伝うまゆ。
雨で一気に雪が解け、水であふれる谷川を空から見おろしたまゆは、普段は小さな川がまるで身をくねらせる龍のように激しく流れる様子に息をのみます。
古くから龍は水との関わりが深く、水神としても親しまれてきました。初詣の際に龍があしらわれた手水で手を清めた方も多いのではないでしょうか。昔の人も、まゆの様に水を集めて流れる川に龍の姿を見ていたのかもしれません。
登場する龍の親子は、最初から最後まで一言も言葉を発さないことで、かえって存在感が増し、神聖な雰囲気をまとっています。ちびっこの龍は時折子どもらしい表情も見せ、その可愛さも見どころの一つです!
推薦者:稲垣 彩(新潟県立図書館主任司書。児童書担当。1児の母。)
新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。