大人の本棚・こどもの本棚

みどりのゆび

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裕福な家庭で育ったチトは、幼い頃は母親から教育を受け、8歳になって学校に行くことになりました。しかし、学校の勉強のやり方になじめず、落ちこぼれてしまいます。そこで父親はチトに、庭師、工場長、医者などから、実地に社会の実態を学ぶという勉強法を考案します。その過程でチトは自分が花を育てる「みどりのゆび」を持っていることを知り、この指を使って、社会を変えていくのです。

ファンタジックな設定の児童文学でありながら、戦争、貧困、犯罪、病気など現実社会が抱えている多くの矛盾を鋭く描き出していると思います。悪い人はいないのに、なぜこれらの問題がなくならないのか、考えさせられる1冊です。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)

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