江戸時代、新潟の廻船問屋の長男である寅吉が、家の窮地を救うために、祭りの舞台で弟の文吉と芝居をすることになります。質屋の金兵衛はその芝居に満足して、廻船問屋を立て直すお金を貸してくれるでしょうか。
大人の本には時代小説というジャンルがあり一定の読者がいます。しかし、子どもの本では、この本のように江戸時代を舞台にして、かつエンターテイメント性もあるものはなかなかありません。
江戸時代の制度や風物が描かれていますが、登場人物の人柄や考えもしっかりと描かれており、お勉強という感じではなく、お話として楽しんで読むことができます。また、Minoru氏の絵も若い読者を惹きつけるものとなっています。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)