静岡県の田舎の無人駅に、亡くなった会いたい人を連れてきてくれるという夕焼け列車の伝説があります。文庫化された本書には、その伝説を信じる人物が登場する6編の異なる物語が含まれています。それぞれ親友だったり、恋人だったり、夫婦だったりした大切な相手を失い、様々な苦しみや悲しみを背負った人たちが、再会を願って、この無人駅にやってきます。再会は一度だけ、それもとても限られた時間だけで、伝説を信じ強く会いたいと願わなければなりません。皆、その再会の中で、心残りを整理し、悲しみを癒し、本当のお別れをしていくのです。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)