なんでもふたつさんは,名前のとおり,何でも二つずつ持っています。服も靴も仕事も家でさえもです。しかし,おくさんと子どもはひとりしかおらず,なんでもふたつさんはそのことを残念がっていました。
児童文学なのにおくさんと子どもも二人ずつ求めるというどろどろした展開になってしまうのか,あるいは,昔話のように欲張りで何でも二つずつ求めることを諫める展開になるのかと,どきどきしながら読んでいったところ,予想外の驚きの展開になりました。
私達には,何でも二つあるいはそれ以上を求める欲張りな心と,一方でそれを諫めようとする心があります。そのような心を奇想天外な子ども向きのお話としてうまくまとめていると思います。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)