私の中で【夏】といえば真っ先に思い浮かぶのがこの本です。
中学生の頃初めて読んで以来、今でも度々読み返しています。子どもたちだけではなく、大人の方にも是非読んでみてほしいと1冊です。
「死んだ人が見たい」という少し不謹慎な好奇心から、一人暮らしのおじいさんの家に様子を見に通うようになった3人の少年たち。そんな彼らに気がつき、対抗するように元気な姿を見せつけるおじいさん。この不思議な関係性はいつの間にか、心の通った交流へと繋がっていきます。
ひと夏の短い期間の物語ですが、とても密度が濃く、少年たちの人生の中の大切な時間を一緒に経験したような充実感があります。きっと読者の中にも何か大切なものを残してくれると思います。
吉岡 彩佳(萬松堂本店児童書担当。子どものころから本が好きで念願かなって書店勤務に。甥っ子に絵本をプレゼントするのが楽しみです。)