里山の自然と人の暮らしを撮り続けている写真家 今森さんの「世界の昆虫美術館」シリーズに、最新刊がでました! 虫好きはもちろん、苦手な方にも観ていただきたい美しい図鑑です。
前半は1ページに1匹ずつ、日本の昆虫70種がさまざまなポーズで登場します。なぜその形・色になったのか? アート作品のように美しい自然の造形と色彩に目を奪われます。
隣のページの解説は、今森さんが名付けた呼称と生態、その虫と出会った時の記憶などが詩的につづられています。例えば、
「夏休みの色 オニヤンマ」「日本最大のトンボとして知られる。新緑の森の色をそのまま写しとったような複眼、黒地に黄色のつややかなしま模様。子ども時代の豊かな思い出がよみがえるようで、たまらなくワクワクする配色なのである。(後略)」 というように。
本書を観ていると、自分が虫たちと出会った時のシーンが鮮明に浮かんできます。子どもの頃から五感をフル活用して虫と遊んできた懐かしさとともに、その記憶は永遠であることを感じました。
後半には、実物大の昆虫が518匹。
「昆虫たちの命をあつかうというかけがえのない体験は、『感性の栄養』となるのではないだろうか。昆虫は、子どもたちへの神様からのプレゼントなのである。」 今森さんの言葉が心に残ります。
田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)