本書は、我が国の環境問題を解説した4巻シリーズのうちの1冊です。このシリーズは、多数の写真とルビをふった平易な文章で構成されており、小学生に読めるように配慮されていますが、ぜひ中学生にも読んでもらいたいと思います。近代化を急いだ明治・大正期、公害が問題となった昭和の高度成長期、地球規模での環境問題が現れた平成期などを経て、やはり今の小学生・中学生が最も切実に把握しなければならないのは現代にあたる最終巻だと思い、本書を選択しました。
本書には、福島原発事故、気候変動、そしてSDGsの取組などが紹介されています。後ろの方には、質問「昔の人たちのせいなのに、なぜわたしたちが、環境問題のためにがんばらなくてはならないのですか?」に対する答が書かれていて、この答こそが、シリーズ全体を代表する考え方だと思いました。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)