色鮮やかな模様と優雅な動きから「泳ぐ宝石」と称される錦鯉は、江戸時代に新潟県の中越地方で生まれ、その後、盛んに品種改良が行われてきました。今では世界各国に愛好家がいて、国際的な品評会も開催されています。

この本は錦鯉が誕生した新潟県の気候風土と、錦鯉を育てる人々の生活をカメラで写した写真絵本です。一瞬の表情やその場の空気感を切り取った、リアルな表現で、見る人の心に迫ります。写真を中心に構成されているページに、簡潔で詳細な文章が組み合わされていて、錦鯉を育てる人々の想いが読む人に伝わります。

これまでだれも見たことがない鯉を創るため、水質管理やえさの与え方などに注意をしながら新品種誕生に取り組む養鯉家、和田さんの姿には情熱が溢れ、長年にわたって引き継がれた技術の奥深さが感じられます。新品種「麒麟」を創り出すまでを追体験することで、錦鯉の魅力を知ることができ、新潟の風土と人々の知恵から生まれた錦鯉の輝きが誇らしく思える絵本です。

推薦者：有本　教子（新潟県立図書館司書。２女１男の母。）

新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。