中学1年の“まい”は、女子独特のつきあいに息が詰まり、「もう学校へは行かない。」と宣言。自然豊かな祖母の家でしばらく暮らすことになる。おばあちゃんはイギリス人で、まいを心から受け入れてくれた。魔女の血を引く(薬草で病を治したりする知恵をもつ)おばあちゃんは、まいに“魔女の心得”を伝えていく。「一番大切なのは意志の力。自分で決めたことをやりとげる力」と。まいはジャムやお茶を手作りし、掃除や洗濯をし、考え方を教わっていく。林の中に自分の居場所も見つけ、そこで過ごす時間を大切にしていた。しかし、近くに住む野卑なゲンジさんへの嫌悪感を抑えられず、おばあちゃんと衝突してしまう。やがてまいは転校し、2年後に…。
祖母の愛と知恵に支えられ、苦しい時を乗り越えていく少女の物語。「まいと一緒に暮らせるのは喜び」「まいが生まれてきたことに感謝」と伝え、まいが「おばあちゃん大好き」というと「アイ・ノウ。」と応えてくれる。嫌なことに対処する方法、死んだらどうなるのかを語るおばあちゃんの存在が、賢く強く温かい。
先日6年生に「この本よかった。みんなに紹介して。」と言われた。私が読んだのは30年ほど前、長新太 挿絵の本(楡出版)だったがラストの感動は忘れられない。年月が経っても心に沁みる名作。
田村 梓(新潟市の小学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、30年になりました。)