大どろぼうホッツェンプロッツは，少年カスパールのおばあさんの大切なコーヒーひきを盗みます。カスパールは親友のゼッペルと一緒に，ホッツェンプロッツを捕まえようと決心し，ホッツェンプロッツのねぐらを突き止めます。しかし突き止めた時には，反対にカスパールとゼッペルが，ホッツェンプロッツに捕まってしまうのです。

ドイツの児童文学作家，プロイスラ―の作品の中で，本書は最も日本の子どもたちに親しまれているものではないかと思います。帽子をキーにした筋立てがとてもしっかりしており，すかっとした読後感をもたらします。

フランツ・ヨーゼフ・トリップによるワイルドなホッツェンプロッツの絵や，じゃがいも，ソーセージ，きゅうりのつけものなど，ドイツならではの食材が出てくるところも，この本の魅力を高めていると思います。

話は，第２巻『大どろぼうホッツェンプロッツふたたびあらわる』，第３巻『大どろぼうホッツェンプロッツ三たびあらわる』に続きます。

推薦者：足立幸子（新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。）