小さな子どもは傘や長靴がとっても好きですよね。晴れていてもお気に入りの長靴を履いて歩いている姿は、なんとも微笑ましいものです。
この絵本でお気に入りの傘を持って歩いているのは……おじさんです! いつも黒くて細くてぴかぴかひかった大事な傘を持って出掛けます。だけど雨が降っても決して傘は開きません。傘がぬれるからです。急ぐ時は、傘をしっかり抱いて走ります。
そこへちいさな女の子がやってきて大きな声で歌いました。
「あめが ふったら ポンポロロン
あめが ふったら ピッチャンチャン」
なにやら楽しそうなその声につられ、「ほんとかなあ」とおじさんはついに傘を開き…。
黒い帽子に黒いコート、立派な髭のおじさんの純真な心の動きが表情に表れ、読者の心を掴みます。
「あめが ふったら ポンポロロン
あめが ふったら ピッチャンチャン」
自由な音程で調子よく歌って読んでみてください。こちらの気持ちも軽やかに嬉しくなりますよ!
推薦者:田野辺淳子(絵本の家「ゆきぼうし」副代表。「ゆきぼうし」のある守門村(現魚沼市)で子育てをするため、2001年に新潟市西区から家族で移住。以来、「ゆきぼうし」スタッフの活動を続ける。現在は、高校で書道講師として勤務。)