中・高校生の方は新しい学年が始まって一か月、毎日のリズムも出来てきた頃でしょうか。そうなると、次はさらに先の、大学、就職、そして将来何を目指すのかを考える時間が始まります。
しかし、明確な将来の夢が思いつかない、夢を追い続けることが難しくなった、あるいは、これと一度決めたつもりだけど迷ってしまった…となる時が来るかもしれません。
そんな時、もやもやする胸の中にさわやかな柑橘の香りの風が吹くような物語を読
んでみるのはいかがでしょう?
舞台は愛媛県宇和島市とアフリカのガーナ。中学三年生の樹々(じゅじゅ)とリクは、お互いを大切に思い合う幼馴染ですが、それぞれ将来への悩みを抱えていました。
樹々はみかん農家の一人娘。痛快な日記を書くけれど、普段はおとなしい。そんな彼女は自分の将来にあれこれと気をもむ周囲の大人たちに困っています。というのも、樹々にはとある理由から、はっきりした将来の夢がないのです。
一方、リクはガーナにルーツを持つ、とびきりダンスの上手な少年。夢は世界一のプリンシパル(バレエ団のトップダンサー)。樹々が「宝石」と呼んで憧れるほどの素晴らしい才能をもっていますが、彼にも悩みがあって…。
二人の将来への悩みは等身大であり、そこから一歩踏み出すきっかけもまた、すぐ身近なもの。同じ悩みを抱えたひとへのヒントになるかもしれません。
何より、周囲との交流を通して、力強く未来に目を向けていく二人の姿は、読む人を励ましてくれるでしょう。
遠藤 真衣(新潟県立図書館司書。ユースコーナー担当)
新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。