『ライト兄弟はなぜ飛べたのか』という書名です。通常「なぜ」という問いには何通りもの答え方で答えることができます。この場合、伝記的な答えなのか、物理的な答えなのかと思いながら読み始めたところ、その両方で答えている本だということが分かりました。ライト兄弟が飛行機を開発していく過程を伝記的事実に即して、しかもその飛行機改良の物理的な事実を紙飛行機などの実験によって示しているのです。

私の同僚で、新潟大学教育学部で理科教育を担当されている土佐幸子先生の著書です。執筆には、ボストン科学博物館で子どものための科学教室をなさっていた時のご経験がふんだんに活かされているのだと思います。取り上げられている実験は、分かりやすくイラストで示されており、使う材料も紙など家庭にあるものばかりで、家庭でも行うことができます。子どもたちには、ぜひ実際に実験をやりながら読んでもらいたいです。

足立幸子（新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。）