パリが舞台になっています。
少女ソフィーは愛用している植物図鑑が壊れてしまったことから、ルリユールおじさんのところにこれを持ち込みます。おじさんは、ソフィーがどんなにこの図鑑を大事に思っているかを見抜き、丁寧な仕事ぶりで、その修復を行います。そして図鑑はその後二度と壊れることはなく、ソフィーは植物学者になりました。
表題にある「ルリユール」とはフランス語で製本職人のことで、これはフランスで400年も続く、日本にはない仕事だそうです。
この絵本には、図鑑を製本し直す工程が極めて美しい絵で描かれています。また、物を大切にする様子が表現されているのは、とても好ましいと思います。
ソフィーのように、子供の頃の読書は人生に大きな影響を与えます。読書を支える製本職人の人数がパリでも減ってきているのは、時代の流れとはいえ、残念に思います。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)