ある6年生が「しずくちゃん」と親しみをこめて呼び、繰り返し借りていく絵本です。ポーランドで生まれ、1969年に日本で出版されました。
バケツから飛び出した水のしずくが長い旅に出ます。お日さまに照らされて雲まで昇り、雨となって地面に落ち、寒い夜には氷に変わり、朝がくればまた水に…。水が姿を変えて循環していく魔法のような不思議を、しずくの女の子を主人公にしてユーモラスに伝えています。
子どもをひきつける理由は、絵と訳文の抜群のうまさでしょう。笑ったり困ったりするしずくの表情は、とってもおちゃめで、画面の色やレイアウトもしゃれています。弾むようなリズムの文章は、声に出して読むともっと楽しいです。
レタリングは、堀内誠一さんによるもの。文字のデザインが、この絵本を一層魅力的にしています。
田村 梓(新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に、本や昔話を楽しんで、28年目になりました。公共図書館や幼稚園でも、子どもと本をつなぐ活動をしています。)