大人の本棚・こどもの本棚

物語 たくさんのお月さま

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病気になってしまったレイアひめの「お月さまがほしい」という願いを叶えようと、王さまは家来たちに月を手に入れるように命令します。しかし大臣も、魔法使いも、数学の大先生も、それぞれの理屈で「月はとても手に入れられない」と断ります。最後に呼ばれた道化師は、レイアひめ自身にどのようなお月さまがほしいかを尋ね、レイアひめの望むお月さまを手に入れることができたのです。

レイアひめ、王さま、大臣、魔法使い、数学の大先生それぞれのお月さまのイメージが異なるためにうまくいかないというところは、問題の捉え方があいまいなために問題解決に至らない現代社会の様々な側面に通じると感じました。しかし、全体的に滑稽でユーモラスに描かれているので、とても楽しく読めます。もとは1944年に刊行された同じ作家・画家・訳者による文字量の多い絵本でしたが、2019年に幼年向きの読み物として再編され出版されました。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)

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