「地球は丸い」ということを知っている小学生がこの絵本を読んだなら、理科の本と思うかもしれませんが、私はむしろこれは、地動説を手に入れるまでの人々の認識に焦点をあてた社会科(歴史)の本だと思います。
天動説を信じていた人々がなぜそれを信じていたか、そしてどのようにしてその考え方を変えていったのかが述べられています。
舞台はヨーロッパの小さな国です。ページをめくるごとに大地がしだいに丸みを帯びるように描かれており、やがて大地は球となり、最後には地球儀になってしまいます。
私達の認識は先人の不安や悲しみや数々の努力の上に成り立っているのだということを、改めて感じさせてくれる絵本です。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)