父親とは何かについて考えるときがある。母親の胎内から生まれた子ども。胎内にいたとき母の声の記憶や母乳。血のつながり以外に、父親には、そういった共有する生命の神秘はない。
本書は、著者の霊長類学者・山極寿一氏の人類学的な見地から、特に人類のルーツであるサル、ゴリラの研究から、父の存在意義を根源から考察している。
子育てには無関心だけど、子どもとは遊ぶゴリラ。父親は祖先から、こういう余分な存在だったのです。
ちょっと視点を広げすぎてしまったようだが、ここにも父親を考えるヒントがある。
中山 英(萬松堂本店店長兼出版社島屋六平出版営業課長。1児(4歳娘)の父。育児と読書の日々を過ごしています。)