ニューヨークの世界貿易センタービルはもうありません。戦闘機が突っ込んで瞬く間に崩れ落ちました。しかし、この存在しないビルには今でも語り継がれる物語が残っています。
1974年8月7日、完成間近の頃、綱渡りした男の物語です。
大道芸人・フィリップ・プティが地上400メートルの高さでパフォーマンスを繰り広げました。人々の驚嘆と喜びを描いた迫力ある、手に汗握る緊張の連続。
いま思えば、なんて平和な事件なんでしょうか。形あるものはいつか滅びゆく運命にあるけれど、記憶や物語は残り続けます。
推薦者:中山 英(萬松堂本店店長兼出版社島屋六平出版営業課長。1児の父。毎晩、絵本を読み聞かせるのが日課。)