小学校4年生の千歌(ちか)は、はとこで同じ学年のあっくんと一緒に暮らすことになりました。パパとママが言うには、まずは半年間、家族になることを試してみるということです。キチント星人というのは、食事のマナーや衛生観念などがきちんとしているあっくんに対して、大雑把な千歌が驚きをもってこっそりつけたあだ名です。この物語は千歌の視点で語られ、あっくんだけでなくパパやママの性格や考え方が丁寧に描かれます。いろいろな違いがあっても互いに尊重しあい、大切に思いあっていることが伝わってきます。
様々な家族の形がありうる現代社会において、このような物語が小学生にも分かる児童文学の形で存在することの意味は大きいと思いました。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)