今から30年程前に、作者の小林豊さんが訪れたアフガニスタンの小さな村をモデルにして作られた絵本です。
すもも、さくら、なし、ピスタチオの花でいっぱいになるパグマンの春。収穫を終えると、少年のヤモは戦争に行っている兄さんに代わって、父さんとロバのポンパーと一緒にかごいっぱいのすももやさくらんぼを売りに町へ行きます。美しい自然、活気のある町、そして純朴に一生懸命生きる子どもたちと、誠実で温厚な大人たち。
思ってもみない結末に切なくて言葉を失いますが、実際に世界で起こっていることです。戦争の愚かさや、裕福でなくとも坦々と日々を生きられることの幸せと、本当の豊かさとは何かを考えさせられます。
また、パグマンの村を舞台とした続編「ぼくの村にサーカスがやってきた」や、「せかいいち うつくしい村へ かえる」も刊行されています。
推薦者:田野辺淳子(絵本の家「ゆきぼうし」副代表。「ゆきぼうし」のある守門村(現魚沼市)で子育てをするため、2001年に新潟市西区から家族で移住。以来、「ゆきぼうし」スタッフの活動を続ける。現在は、高校で書道講師として勤務。)