きつねの きっこ が満月の夜更けに、秋祭りのための油揚げを買いに町へでかけます。心配するお月さまと、ふくろうの ろくすけ、いたちの ちい と にい をお供に無事にお買い物を終えたきっこ。しかし、帰り道に油揚げを狙う怪しい影が近づきます。
夜道を進むきっこたちの緊張感を共有し、山を越え、野を越え、川を越える展開にドキドキした子ども時代が思い出される絵本です。
お月さまの優しい(時に力強い!)光が秋の野山を照らしだすような絵は、美しいだけでなく細かい部分に遊び心があります。お手伝いをがんばり朝になって眠ってしまった、ふくろうの ろくすけ がちょこんと描かれている所などとってもかわいらしいです。
お豆腐屋さんへのお代になった山・川の幸や、竹でできたお湯呑み、きっこの台所道具など、日本的な懐かしさを感じる演出は、いつ読んでもきっこの住む世界への憧れを抱かせてくれます。
シリーズの「おなべおなべにえたかな?」なども名作!
推薦者:稲垣 彩(新潟県立図書館主任司書。児童書担当。1児の母。)
新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。