グスタフ・ヴァーサとは、日本ではあまり知られていませんが、スウェーデンでは「建国の父」として非常に有名な人で、本書はスウェーデンの児童文学を翻訳してきた著者が、長年の構想のもとに書き上げたYA文学です。ヴァーサは、16世紀の初め、デンマークの圧政に苦しむ農民たちとともに立ち上がり、スウェーデンの独立を成し遂げました。しかし本書で取り上げられているのは、その快進撃の手前までのとても苦しい時期です。人質としてとらえられ、父を「ストックホルムの血浴」で失い、仲間の裏切りにも会います。そんな中でも、信頼できる人々、献身的に彼を支える人々が登場し、物語がドラマチックに展開します。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)