大人の本棚・こどもの本棚

夢は牛のお医者さん

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今回紹介するのは、新潟県を舞台に実際にあったお話で、ひとりの少女が夢をかなえる物語です。

この本の主人公、知美さんが動物のお医者さん「獣医」になりたいと思ったきっかけは、小学3年生の時に三頭の子牛が小学校に「入学」してきたことです。知美さんが通うのは、松代町(現 十日町市)にある小学校。冬には三メートル以上の雪がつもり、家が三十軒だけの山の中にある小学校で、児童はたったの9人です。

その年、新入生が一人もいなかったので、校長先生のお考えで、かわりに三頭の子牛が入学してきました。知美さん達は、エサやりや牛舎の掃除などのお世話をし、運動会には一緒に校庭を走り、新しいクラスメートと毎日楽しく過ごしました。

ところが、しばらくすると子牛が病気になってしまったのです。獣医さんに来てもらいましたが、よくなるまで一ヶ月くらいかかりました。その間、知美さん達は、山に薬草のヨモギを探しに行ったり、へたりこむ子牛の体をそっと抱いて励ましたりして、一生懸命看病しました。この時、知美さんは「牛のお医者さんになって、私が治してあげたい」と強く思ったのです。

ところで、子牛が入学してくる前、みんなは先生と「牛が400キロになったら出荷する」と約束していました。「牛はわたしたち人間が食べるお肉になる家畜なんだよ」と先生から言われていたのです。そして別れの日がやってきます。

この本には、牛との楽しい生活や、牛とのお別れ、そして中学、高校、大学へと進学した知美さんが夢をかなえるまでと、獣医になった知美さんの現在が書かれています。夢をもつことが、生きていく原動力となることに気づかされる本です。どうぞ読んでみてくださいね。

 

推薦者:有本 教子(新潟県立図書館司書。こども図書室担当。2女1男の母。)

さて、新潟県立図書館のホームページにBSNキッズプロジェクトの「大人の本棚・こどもの本棚」で紹介された本のリストが紹介されています。こちらもどうぞご利用ください。

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