SDGs de はぐくむコラム

「まなぶ」楽しさ 

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グーテン ターク、お元気ですか! 例年とは違う今年の夏…。私は”スティホーム”で、人生を振り返っています。

以前、教え子達とお酒を酌み交わしたとき、「卒業したらもう勉強しなくていいんだと思っていたけどな…」「小学校の時に、もっと勉強しておけばよかった…」という声をよく聞きました。わかります!私もそうでした。しかし「学ぶ」ことは本来楽しいもの。知らないことがわかる、やれないことができる。もっとうまくなりたいとやる気になる、ああ実に楽しい!

これまでもドイツ日本人学校校長時代のことをお伝えしました。ドイツの子ども達は、卒業後はどうしているのでしょう。ドイツは「大人の社会教育」が実に充実しているのです。年度初め(ドイツでは9月から新年度開始)に、開講される講座が冊子になって、役所の机に積まれます。それがとても分厚いのです。

英会話・日本語講座などの語学系、卓球・太極拳・ヨガなどのスポーツ系、油絵・彫刻・写真などの美術系、ギター・ピアノ・オカリナなどの音楽系、料理や文学など実にたくさんの講座があります。開始時刻は午後6時ころから1時間半。ちなみに、ほとんどの職場は午後5時に退勤です。残業という言葉がないのです。講座会場は近くの小学校、だから駐車場も十分あり、暖房設備もあります。(ドイツでは冷房は必要ないほど夏は涼しいのです)。月会費は3ユーロ、約400円と格安です。国や州がいかに「大人の社会教育」に力を入れているのがわかります。さっそく私たち夫婦も英会話講座と太極拳講座を受講しました。写真は英会話講座の記念写真です。講師はアメリカ出身の高校教師。生徒はドイツ語しか知らないドイツ人やブラジル人、トルコ人そして私たち日本人。授業は英語のみとしているのですが、盛り上がってくると自国語が出てもう大変…。でも楽しいひとときでした。同時に音楽室ではギター教室、家庭科室では料理教室が開かれていました。

英会話講座

私たちも受講者と仲良くなって、誕生日パーティに招かれました。ドイツでは、誕生日を迎えた人が友人を招き、ご馳走をしてくれるのです。時間厳守のドイツ人。バスで行ったのですが、少しぶらぶらして時間調節をして行きました。お土産は「お花」が喜ばれると聞き、フラワーショップへ。日本に比べ、たくさん種類があり、ドイツ人はいつも窓辺に飾っています。

友人・フォースさんの奥様が手作りのアップルパイや地元のビールなどをふるまってくれました。部屋に、顔写真入りの家系図が飾られていたのが印象的でした。祖先や家族をとても大切にしていることがよくわかります。

年齢に関係なく、学ぶことはできるのです。そんなことを考えるきっかけを作ってくれた教え子達との“同窓会”。今年は全てキャンセルとなりました。早く「当時の学び」、そして「現在の学び」を語り合える日が来ますように…。

今回紹介する本は、「まなぶ」 写真絵本です。キューバやカンボジア、中国や日本などの子供たちの「まなぶ」姿が、笑顔が印象的ですし、心に染み入る短い文章に心打たれます。

「まなぶ」 長倉 洋海 作 (アリス館)

4ページ、「今日は、なにを教えてもらえるのだろう。胸がどきどきする」。こんな気持ちで、日本の子どもたちも学校へ、教室へ向かうのでしょうか?パプアニューギニアでは地面に藁を敷き詰めた粗末な教室が一つ。でも子供たちは笑顔で先生の来るのを待っています。「家畜の世話をしてから、家を出た。学校まで山道を2時間。駆けてきたけどまだ遠い。雪どけ水が流れる川辺で、ひと休み」とアフガニスタンの少女。

「いままで知らなかった世界にふれ、未来に向かって大きく羽ばたくために、人は、まなんでいく」。「大きくなって、自分の好きなことをもっともっと知るために勉強するんだって、気づいた」。日本の子ども達も、こんなふうに気付いて勉強しているのでしょうか?

 

知識を丸暗記するだけの授業、テストのための勉強。そしてテストの点数がよければすべて良しと勘違いしている教師や親たち…が多くいないでしょうか。

学ぶことの本質、学ぶことの楽しさ、そして生きるということ。

ウィルス禍の大変な時ですが、だからこそじっくりと考えたり、親子で話し合ってほしいと思います。

この記事のWRITER

倉品章(三条市在住・読書アドバイザー)

倉品章(三条市在住・読書アドバイザー)

1949年・長岡市生まれ。新潟大学卒業後、県内小学校に勤務。ドイツ・ハンブルグ日本人学校長、三条市立裏館小学校長など国内外の教育現場を経験。定年後「あきジィ」の愛称で読み聞かせボランティアを実施。中高年向けに「読書のススメ」講演も。現在:JPIC読書アドバイザー、三条市社会教育委員など。
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