SDGs de はぐくむコラム

伝統を大切に

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グーテンターク!お元気ですか。ドイツはもう冬。例年ならクリスマスマルクト(市場)が始まっているころです。グリューヴイン(ホットワイン)のおいしい季節、フゥフゥ吹きながら…、シナモンの香りが懐かしいです。

グリュウーヴインで

ドイツでの住居(右半分)

上の住宅写真は、ドイツ・ハンブルグ日本人学勤務時代、私たちが住んだ家です。ドッペル(英語でダブル)ハウスで、左右対称になっています。左側が大家さん夫妻、右が私たちの家です。騒音を嫌うドイツ人は、中間の壁をすごく厚くしていて、隣の音は全く聞こえません。築200年と言っていました。もう何代ものご先祖が住み続けた家なのです。家の中は全暖房で過ごしやすく、ネット環境もばっちりです。家具は重厚で歴史を感じさせます。窓をたくさんとり、明るくモダンな内装…。近くの家では、息子さんが自分の部屋を一人でペンキ塗りをしていました。DIYの定着した国です。

生活は質素です。日本ではフランス料理やイタリア料理店が多くありますが、ドイツ料理店は少ないですよね。服装もそう派手でなく、子どもは膝当てのズボンを履いています。ブランド物を身に付ける子はほとんどいません。靴も擦り切れるまで履くか底を取り換えて履いています。いいものを買って、長く使うという習慣が身についています。商店街を散歩すると靴屋さんが多いことで、よくわかります。

ドイツにはあの「グリム童話」があります。今でも多くの子が読み、寝る前には親が読み聞かせをしています。この本は、グリム兄弟(兄ヤーコプ、弟ヴイルヘルム)が、ドイツの昔話をお年寄りから聞き取り、まとめ上げた本です。200年以上前の1812年のクリスマスイブに初版が出版されました。ハンブルグからブレーメンまでは普通列車で1時間くらい。1日券(地下鉄電車バス乗り放題)を買って出発です。駅から「ブレーメンの音楽隊」像がある広場まではずっと歩道です。途中で動物たちのモニュメントが出迎えてくれます。ブレーメン市民だけでなくドイツ国民がこうした自国の昔話を大切にしていることがよくわかります。

ブレーメン像

別の日にハーメルンも訪ねました。ここでは市民が総出で「ハーメルンの笛ふき」の野外劇を上演していました。計画から準備、上演、後始末まですべてボランティアです。誇りを持って楽しそうに取り組んでいます。ネズミ役の小さな子からお年寄りまで。

野外劇ハーメルンの笛吹き

ドイツといえばビール。ミュンヘンのオクトバーフェストに行ってきました。それぞれに民族衣装を着て、収穫を喜び、飲み、踊り、歌い、談笑しています。古き良き伝統をしっかりと今も引き継いでいるドイツです。

ジョッキは1ℓサイズのみ!

 

今回紹介する本は、「ブレーメンの音楽隊」 です。

グリム童話 「ブレーメンの音楽隊」
バーナデッド絵 ささき たづこ訳
西村書店

読み返すと新しい発見がありました。主人公の動物たちはみんなお年寄りなのです。もうひと花咲かそうとブレーメンを目指します。第二の人生のスタートです。そこで泥棒たちに出会い、知恵と勇気と協力でやっつけます。結局ブレーメンには行きませんでした。だって、素敵な仲間と出会えたから。そこで楽しく余生を暮らしましたとさ。余生って何だろう?なんて、大人にも楽しい童話なのです。ぜひもう一度。

*11/21朝9時~BSNラジオ「大杉りさのRcafe」内「はぐくむコラム」に倉品先生が登場予定です。どうぞお楽しみに!

この記事のWRITER

倉品章(三条市在住・読書アドバイザー)

倉品章(三条市在住・読書アドバイザー)

1949年・長岡市生まれ。新潟大学卒業後、県内小学校に勤務。ドイツ・ハンブルグ日本人学校長、三条市立裏館小学校長など国内外の教育現場を経験。定年後「あきジィ」の愛称で読み聞かせボランティアを実施。中高年向けに「読書のススメ」講演も。現在:JPIC読書アドバイザー、三条市社会教育委員など。
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