ヤングアダルト向けの教養書として刊行された人気シリーズ「よりみちパン!セ」の1冊です。内容は、簡単な言い方をすれば漢字の成り立ちの説明です。白川文字学の入門書と言ってもいいでしょう。
漢字の成り立ちには、古代の中国の人々の自然観や社会観が反映されています。また、それを用いようとした古代の日本の人々の努力の跡も窺えます。漢字が生み出された現場には、現在よりもはるかに厚い「神さま」への信仰があったこと、「人間」に対して現代とはかなり違う見方・考え方をしていたことを感じさせてくれます。
増補部分は、このように豊かに生み出されてきた漢字なのに、常用漢字表などの漢字政策や漢字教育が、日本における漢字を画一的なものにしてしまっていることへの著者の批判です。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部准教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)