世界の人口は現在78億人超え。その一人一人が、みんな違っていることの素晴らしさを描いた大型絵本です。

まず驚くのは、圧倒的な絵の細かさと美しい色です。表紙にはあらゆる民族の老若男女。見返しには宇宙に浮かぶ青い地球。そして、アダムとイヴが生まれたエデンの園。

続いて、世界中の人々の体つきや顔のパーツ、着る物、家や食べ物、伝統的な遊び、言葉や文字などの違いを、ページいっぱいに描き分けていきます。子どもは初めて見るものに興味津々、大人でもまだ知らないことだらけの多様な世界に驚かされます。

それだけでなく作者は、世の中には親切な人も悪い人もいること、一生けんめい働く人も仕事がない人もいる、権力者や身分・階級を作ってきたことなど、社会の現実も伝えています。

さまざまな差別がある現代、気づかないうちに私も差別をしているかもしれない。“自分と違っているだけで嫌うのはおかしいよ”“全部同じだったら、たいくつ”“それぞれ違っているってすてきでしょ”という作者のメッセージが、ストレートに響きます。

田村 梓（新潟市立小学校の学校司書。子どもたちと一緒に本や昔話を楽しんで、29年目になりました。公共図書館などでも、子どもと本をつなぐ活動をしています。）