12月になり、おそらく日本のいろいろな場所ではクリスマスムードが漂いますね。阿賀野市でおこなっている、アートセラピーの研究もだいぶ進んできていますのでいずれお話しできたらと思いますが、今回はクリスマスに関するお話とさせてください。
日本ではクリスマスは大きなイベントの1つであり、25日が終わると一気に年末大掃除、お正月の支度と慌ただしいですよね。キリスト教の根付いた地域ではクリスマスは教会に行ったり、家族と過ごすことが一般的。お休みも元旦までで、ツリーは1月6日の公現祭(Epiphany)までに片付けるとされ、片付けるのが遅くなると縁起が悪いと言われています。一方でキリスト教でない中華圏では、春節の前くらいまで飾ってあるところも多くあります。子どもの頃に行った台湾で、1月にクリスマスツリーがずっと出ているのを見て、片付け忘れたのかな?と思った記憶かあります。
他の宗教、イスラム教などではクリスマスというお祝いはしませんが、先日まで調査に行っていたトルコでは日本同様にショッピングモールが装飾され、楽しむイベントとして認識されているようです。地域、宗教によって年末年始の過ごし方は様々。この時期ご挨拶をするなら、Merry Christmasより、Happy Holidayの方が無難かもしれませんね。
…とは言っても、多くの子どもたちにとってクリスマスパーティやプレゼントは待ち遠しいもの。この時期はいろいろなチャリティ団体も工夫を凝らして寄付を募ります。チャリティでは一般の人から寄付された本、電子機器、DVD、食器、衣服などを販売し、売り上げが慈善事業に活用されるというシステムになってています。海外の学校ではチャリティを目的としたイベントが頻繁にあり、地元の子どもたちがボランティアでものを販売するなどの姿もみられます。募金の目的や方法は様々ですが、小さな頃から「ボランティア」や「チャリティ」などの活動を通して「支え合いの精神」を学んでいきます。SDGs1「貧困をなくそう」とSDGs12の「つくる責任 つかう責任」の観点からも、他者への理解の精神が培われるという点からも大事な学びの機会になるかと思います。
先日、お子さんがインターナショナルスクールに通っているお母さんと話をしたのですが、クリスマスに孤児院などの子どもたちにプレゼントを送るチャリティがあるようです。そのことを知った11歳のお子さんが「チャリティで集まったお金は、プレゼントよりも、生きることそのものが脅かされている子どもや動物を保護するために使われるべきではないか?命の価値は同じなのに動物は人間より守られないのはなぜか?」と疑問を感じ、親子で「命」や「保護」について長時間ディスカッションすることになったそうです。いろいろな場所でたくさんの経験をし、格差や貧困なども見てきている女の子なのですが、目の前にあるチャリティにただ参加をするのではなく、自分なりにその意義をしっかりと考え、アクションを取ろうとしています。
チャリティには、「子どもたちに社会活動への興味もたせる」という面もありますが、彼女のようにより深く考え、「行動をできる子になる」というのが、SDGsを知った子どもたちが、次に踏み出す一歩なのかもしれませんね。
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
12月2日は、カウンセラーで公認心理士の中山莉彩さんです。お楽しみに!