SDGs de はぐくむコラム

高齢者福祉とSDGs

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阿賀野市 高齢者福祉施設へ訪問

新潟県阿賀野市にで先日まで高齢者福祉施設のご協力を得て、健康に関する調査を行っていました。参加者の方にはアート作成を通して心理的に変化があるのかインタビュー形式でお伺いしていたのですが、その過程において私たちが見たものは、介護士さんが親身に寄り添い、利用者さん個人に丁寧に向き合う姿勢でした。地域やサービスの形態によって様々な介護サービスですが、総じて日本は健康福祉が充実していると感じています。

阿賀野市 高齢者福祉施設へ訪問

 

すべての人に健康と福祉を:高齢者福祉とSDGs

高齢者への福祉政策は、SDG3の目標である「全ての年齢層に健康と福祉を確保し、その福祉を促進する」ことに直結しています。高齢者にとって、健康で快適な生活を送るための基盤を整備することが求められています。例えば地域包括ケアシステムの強化や、介護サービスの拡充、健康診断や予防医療の充実などがその一環です。

また、SDG3に明記されているユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage:以下,UHC)とは,「全ての人が適切な予防, 治療,リハビリ等の保健医療サービスを,支払い可能な 費用で受けられる状態」をさし、今もなお、UHC達成が難しい国が多くあります。

日本は国民皆保険制度を経てUHCを達成した状態ですが、現在、高齢者へのクオリティの高い社会福祉サービスを提供できる背景にも、国民皆保険制度の達成が大きく寄与しています。日本ではすべての国民が基本的な健康保険と介護保険に加入することを義務付けており、この制度の下で、高齢者はもちろんのこと、全ての人々が健康状態に応じた医療と介護を平等に受けることができるようになっています。

 

日本の高齢者福祉とウェルビーイング:

日本は世界でも有数の高齢化社会を迎えており、総務省によると、65歳以上の総人口に占める割合は29.1%と、過 去最高となりました。その割合は今後も増加する見込みで、高齢者の生活支援や医療、介護などの社会的ニーズがますます重要となっています。

政府は高齢者福祉の充実を図るために様々な施策を展開しています。例えば、介護保険制度の導入や高齢者施設の整備、地域包括ケアシステムの推進などがその代表です。また、地方自治体や民間企業も積極的に取り組み、高齢者が安心して生活できる社会の構築を目指しています。日本はスカンジナビア諸国などの取り組みを、先進的な介護制度モデルとして影響を参考にするなどして、独自の文化や社会背景に合った介護サービスの改善を進めてきました。

世界銀行:レポート”Silver Opportunity”関係者会議。高齢化に関する日本、各国の知見共有をおこなった (筆者は共同研究者)

 

日本の高齢者福祉制度への関心:

そして今、日本の高齢者福祉に対する国際的な興味は高まっています。特に、高齢化が進む他国において、日本の取り組みから学ぶことが多いとされています。例えばデジタルテクノロジーを活用した高齢者支援システムや地域包括ケアのモデルは、海外でも注目され、私自身も色々な国の高齢化福祉担当の方々の日本国内の視察に関与した経験があります。

今後は、高齢者の生活環境やQOL(Quality of Life)の向上を図るために、より効果的な政策と実践が求められます。例えば、高齢者と若年層、こどもたちとのの交流促進や、働きたいという高齢者の活躍支援などが挙げられます。また、地域レベルでのボランティア活動をするなど、地域住民の協力も不可欠になります。

日本が直面する高齢化社会の課題を解決するためには、政府、民間企業、地域住民が一体となって持続可能な支援体制を構築することが求められます。国内外の成功事例を参考にしつつ、地域の文化や社会的背景に即した施策を進めていくことが、高齢者だけでなく、多様な人々の将来のウェルビーイングの向上につながるのではないでしょうか。

 

さらに詳しく:

UHC達成と高齢者福祉の提供

アクセスと平等な医療サービス: 国民皆保険制度により、全国民が医療機関を利用する際に一定の負担金でサービスを受けることができます。高齢者は特に健康リスクが高く、定期的な医療ニーズがありますが、制度によって負担を最小限に抑えつつ、必要な医療を受けることが可能です。これにより高齢者の健康維持が支えられ、医療の早期介入や継続的なケアが実現されています。

介護サービスの充実: 介護保険制度の導入により、高齢者が自宅で生活するための支援が強化されました。介護保険は、認定を受けた高齢者や障がい者に対して、必要な介護サービスを提供することを目的としており、その費用の一部を国が補助することで負担を軽減しています。これにより高齢者が尊厳を保ちながら自立した生活を送ることができる支援が行われています。

財政的安全網の提供: 国民皆保険制度は、医療費や介護費の負担を個々人が負いすぎないように調整し、経済的な負担を軽減する役割を果たしています。高齢者やその家族が医療費の支払いや介護コストの負担による経済的なストレスから解放され、生活全般の安定を図ることができます。

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
6月29日は、カウンセラーで公認心理士の中山莉彩さんです。お楽しみに!

http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2024/06/29/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20240629100000

この記事のWRITER

中山莉彩(東京都在住 カウンセラー・公認心理士)

中山莉彩(東京都在住 カウンセラー・公認心理士)

カリフォルニア大学バークレー校卒。ニューヨーク大学大学院にて芸術心理療法修士号、東京大学大学院医学系研究科で国際保健学博士号を取得。国連開発計画(UNDP)コソボ事務所、チャド事務所にて紛争後のメンタルヘルス等に関する研究、世界銀行にて保健政策分野における分析業務に従事。都内のインターナショナルスクールやクリニックでカウンセラーとして勤務。大学にて国際保健・社会感情学習(social emotional skills )などを教える。公認心理士。
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