我が家には、猫が2匹います。寒い日が続く最近は、専らストーブの前でくつろぎ、夜は私の布団の中で、安心しきった顔で眠ります。食欲旺盛で、元気いっぱいに家中を走り回り、その様子を見ていると、ストレスのない暮らしが大切なのは、人間だけでなく動物も同じだと実感します。
先日、コーディネーターを務める中学校で、総合学習の活動として新潟動物ネットワーク*の方からご講話いただく機会がありました。そこで初めて、「アニマルウェルフェア」について教えていただきました。Animal(動物)・Welfare(福祉)−アニマルウェルフェアとは、「動物が生きて死ぬ状態に関連した、動物の身体的及び心的状態」(国際獣疫事務局の勧告における定義)であり、動物が心身ともに健康で、ストレスの少ない環境で生きることを尊重する考え方とされています。アニマルウェルフェアには、①飢えと渇きからの自由(栄養)、②ケガや病気からの自由(健康)、③不快からの自由(環境)、④恐怖やストレスからの自由(こころ)、⑤自然な行動をする自由(行動)、といった「5つの自由」が世界共通の基本原則としてあるそうです。
講座では、アニマルウェルフェアの事例として、鶏の飼育環境についてのお話がありました。鶏には、地面に体をこすりつけて羽の汚れや虫を落とす、卵が割れにくい安全な場所を選んで産卵する、木に止まったり飛び降りたりする、などの習性や本能的な行動があります。しかし、鶏の飼育方法にはさまざまな形があり、中には生産性を優先するあまり、ほとんど身動きがとれない狭いケージや、自然環境から離れた状態で飼育されている例も見られます。こうした現状を受けて、欧米諸国では10年以上前から、アニマルウェルフェアの改善に向けた法整備が進められてきました。鶏に関して言えば、過密な飼育を見直したり、ケージフリー(平飼い)の推進がその一例です。スイスでは、動物福祉法により、1992年以降、バタリーケージ(金網のケージ。多段に積み重ねられて飼育されることが多い)の使用が禁止されています。
こうした変化は、動物の福祉向上だけでなく、消費者にとっても「どのような環境で飼育されたか」を知った上で商品を選択できる、という動きにつながっています。実際に、アメリカで生活をする弟に、現地スーパーの卵売り場の写真を撮ってきてもらいました。日本と比べると、卵の種類が多いことに驚かされました。

【Pasture-raised(パスチャー・レイズド:牧草育ち、牧草飼育 家畜が牧草地で放牧され、自然の草や虫などを食べて育ったことを意味する】

【Cage Free Vegetarian Hens(ケージフリー ベジアリアンヘンズ):平飼いで植物性飼料で育てられた鶏】

【Cage Free Vegetarian Hens(ケージフリー ベジアリアンヘンズ):平飼いで植物性飼料で育てられた鶏】

【さまざまな飼われ方の鶏から生まれた卵が並び、値段もそれぞれです】

【⻑岡市内の某スーパーで購入した「平飼いたまご」】
アニマルウェルフェアに関する日本の動きは、法整備や考え方の普及といった点で遅れていると言われていましたが、近年、社会的な関心が高まってきつつあるようです。例えば、ファストフード・外食チェーンの世界大手企業であるYum!Brandsは、アニマルウェルフェアに配慮した経営基準を設け、日本の各店舗においてもそのガイドラインを示しています。また、日本国内の動きとしては、アニマルウェルフェアの認証制度ができ、「認証農場マーク」や「認証食品マーク」もあるようです。今度、お店などで認証マークが付いた食品等をぜひ探してみようと思います。
学校教育でも「アニマルウェルフェア」が取り上げられるようになってきています。私自身は中学校の授業に関わりましたが、高校に勤務する家庭科教員の友人からは、「消費生活」の授業でアニマルウェルフェアを扱った、という話を聞きました。知識として理解するだけでなく、実際に、平飼い卵や植物性食品など、アニマルウェルフェアに関連した食材を使った調理実習も行ったそうです。SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」にも通じる内容で、こうした授業を通じて、消費者としての「責任」を考えることは、大変意義深いと感じました。
私たちは、命を「食」としていただき、たくさんの動物の命に支えられて生きています。みんな同じ大切な命だからこそ、生き物の命に対して倫理的な視点や選択をしていきたいと改めて感じています。
(参考)
*新潟動物ネットワーク ウェブサイト

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。1月24日は、にいがたNGOネットワーク国際教育研究会 RING 企画副委員長の関 愛さんです。お楽しみに!
