
かこさとしさん(1926~2018)は、日本を代表する科学絵本作家です。科学的思考に裏打ちされた繊細で緻密な絵に定評がありながら、ユーモアのセンスもあります。一方、『からすのパンやさん』、「だるまちゃん」シリーズなど、お話の絵本にも素晴らしいものがたくさんあります。
そんなかこさんが、10巻からなる童話集を出版していたことを、私は最近知りました。刊行は没後になってしまいましたが、かこさんご本人が、雑誌に掲載されたものや、紙芝居だったものを自選し、挿絵なども整えて、童話集として編集したとのことです。
この本はその童話集の1巻目で、動物に関するお話29編が収められています。『からすのパンやさん』を彷彿とさせる「おむすび山のカラスちゃん」、三匹のブタが災害救助隊として活躍する「きいブタあおブタみどりブタ」、ゾウに助けられたありがゾウのピンチを救う「ゾウの王国、アリの王国」など、読み聞かせてもらえれば幼児から、自分で読むなら小学生から楽しめる面白い短編童話集です。

推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)
