中学1年男子の反抗期を描いた作品です。
龍樹はある日、母親に背中を触られてゾクッとし、母親の手作り弁当も食べたくなくなります。もやもやとした気持ちを友達と話すうちに、次第にこれは自立したいということだと気づきます。
弁当作りから始め、洗濯、掃除へと自分のできることを広げていく龍樹。自立とは?家族の役割って何?日常に刷り込まれたジェンダーの問題にも触れて、どんどん大人びていく様子に引き込まれます。
主人公は「関係ない」「うざい」とバッサリと親子の関係を断つのではなく、自分が自分らしくいたいために、一生懸命言葉を探し、向き合おうとします。それに対して、いつまでも干渉したい母親と、支配下に置きたい父親の言動はどうでしょう。
親子関係、家族関係を良好に築きたいと思いつつ、実際はヒートアップすることもしばしば。この本は、自立に目覚めた子どもだけでなく、大人にも頑張れよ!と言っているように思います。大人の意見を押し付けていないか、子どもの成長に合わせて自分もアップデートできているか、考えるきっかけになる一冊です。
新潟市立新津図書館 森 直美