海のにおいのするともだちとは、くじらといるかのことです。ふたりは出会い、互いの家を行き来して、お茶を飲んだりビールを飲んだりしながら、次第に仲良くなっていきます。穏やかで牧歌的でふんわりやさしい物語です。詩人の工藤直子さんらしく、本書にはたくさんの詩が出てきます。それだけでなく、くじらやいるかが書いた手紙、いるかとくじらを比較した表、いるかが選んだくじらが書いた小説ベスト10のリスト、くじらの立てたいるかの誕生日のプランなど、様々な形式の文章が出てきます。読者にとっては、それらを頭の中で統合して、物語を組み立てていくという面白さがあります。
推薦者:足立幸子(新潟大学教育学部教授。新潟アニマシオン研究会顧問。専門は国語科教育学・読書指導論。学校や家で子どもが読書をするための方法や環境について研究している。)