SDGs de はぐくむコラム

4月は新しい1年のはじまり? 海外からみた日本の学校

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4月になりました。新潟県内でも桜の開花がはじまり、春の訪れに心が弾みます。今週は、多くの学校で入学式や始業式が行われたことでしょう。新しいクラス、新しい担任の先生、そしてピカピカの教科書−子どもたちは新しい1年のはじまりを迎えています。

ところで、4月が「新しい1年のはじまり」であることは、必ずしも世界共通ではないということをご存知でしょうか。先月、海外から来日した教育関係者の方々と小学校を訪問した際に、そのことを実感する出来事がありました。ちょうど体育館では、卒業式の練習が行われていました。私にとっては、「もうすぐ卒業式なのだな」と自然に理解できる場面です。しかし、その場にいた方の中には、不思議そうに眺めている方もいました。話を聞いてみると、各国で卒業式の時期は異なり、韓国では2月、中国では6月下旬に行われることが多いとのことでした。さらに、ポーランドでは、新学期は9月に始まるということも教えてもらいました(ポーランドに限らず、多くの国で学校暦は9月から1月が1学期、3月から6月が2学期とされています)。このことから、「3月=卒業式シーズン」という感覚は、日本特有であるということを感じました。また、卒業式の雰囲気にも違いがあります。海外では、お祝いパーティーのようにカジュアルな形式も見られるそうです。日本のように、全員が静かに整列をして厳粛に行われる式は、むしろ珍しく映ったかもしれません。

学校訪問の間、海外の方々からは、ほかにも多くの問いが投げかけられました。
「なぜ、子どもたちは、赤と白の帽子をかぶっているのですか?」
体育へ向かう子どもたちが同じ帽子をかぶっている様子を見て、このような質問もありました。それを聞いて、過去に、海外の小学校で働いていた友人が、日本の赤白帽子を連帯感やルール意識を育む活動に役立てていたことを思い出しました。また、午後の授業のはじまり、教室で赤白帽子をかぶったままの子を見かけると、先生が「掃除のすぐ後で、脱ぐのを忘れているんです」と教えてくれまし
た。私にとっては、「あるある」と感じる場面ですが、隣でその様子を見ていたポーランド出身の彼女は、どこか不思議そうな様子でした。というのも、子どもたち自身が学校を掃除する「掃除の時間」そのものが、日本の学校ならではの活動だったからです。

「みんなこの同じカバンなのですか?」
教室のロッカーに並ぶランドセルにも関心が向けられました。確かに、海外ではリュックサックなど
自由なカバンが一般的です。私自身、子どもの頃は自由なカバンで通学することに憧れていましたが、いま考えてみると、ランドセルほど丈夫で機能的な通学カバンはないとも感じます。また、ランドセルに関して、「以前は女子は赤、男子は黒、といった傾向が強かったけれど、いまは一人ひとりが好きな色を選び、多様なカラーのランドセルがある」と話すと、そのような価値観の変化や多様性が尊重されつつある風潮は、日本以外の国でも同様に起こっていることのようでした。

海外の方々とのこうしたやりとりを通して、日本の学校教育について改めて考えました。学校でのさまざま教育活動には、ルールや時間を守ること、異なる学年で協力し合うことなど、協調性や規律性を大切にする良さがあります。日直や清掃、学級会といった特別活動は、「日本式教育」として、近年海外でも注目されています*。学校という小さな社会の中で、子どもたちは責任感や公共性、他者とともに生きる力を育んでいます。その一方で、「みんな同じであること」が暗黙の前提となっているような側面もあるのではないか、と感じることもあります。「みんな同じ」であることは、安心感や一体感を生む反面、個々の違いや選択の余地を狭めてしまう可能性もあります。だからこそ、教育活動において、一人ひとりの個性や選択に丁寧に目を向けていくことが大切だと考えます。

海外の方々からの素朴な問いは、学校の「文化」や「当たり前」における意味や価値を考えるきっかけになりました。

*参考:独立行政法人 国際協力機構(JICA)ウェブサイトより
https://www.jica.go.jp/information/publication/magazine/mundi/1904/201904_03_01.html

 

    

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。4月11日は、にいがたNGOネットワーク国際教育研究会 RING 企画副委員長の関 愛さんです。お楽しみに!

http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2026/04/11/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20260411100000

この記事のWRITER

関 愛(長岡市在住/にいがたNGOネットワーク国際教育研究会RING企画副委員長)

関 愛(長岡市在住/にいがたNGOネットワーク国際教育研究会RING企画副委員長)

高校教員時代に、日本国際協力機構(JICA)による教師海外研修に参加し、ブータン王国へ。その後も、国内や海外へ飛び回りながら知見を広げ、国際理解教育/開発教育の実践力向上を図ってきた。現在は、新潟県キャリア教育連携促進事業(出前講座)や総合学習コーディネーター等を通じて、学校の「外」から教育に関わりながら“持続可能な社会の創り手“を育むべく活動を展開している。旅好きな性格。家庭では、中学生男子の母として、子育てという「人生の旅」を楽しみ中。
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