SDGs de はぐくむコラム

“ChatGPT”を使ってみた

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去年11月に登場した「ChatGPT」。現在、ITに関心のある人たちを中心に、注目を集めています。すでに試した方もいらっしゃると思いますが、どういうものかあらためて説明してみます。「ChatGPT」は、Open AIという団体が開発した、AIテクノロジーを活用した自然言語処理ツールです。見た目には、文字を使って、チャットのように会話をするものです。日本語にも対応していますので、日本語で、だれかに話しかけるように文字を入力すると、答えを返してきます。ただの話し相手のように見えるAIが、様々なユーザとともに「会話」して、学習を繰り返し、知識を得ているということなのでしょう。かなり「優秀」です。

このチャットツールがどんどん知識を蓄えていけば、やがて、Googleのような検索エンジンが必要なくなるのではないか、といわれはじめました。現在の検索エンジンは、適切な検索語をいれてやると、探していた情報の掲載されたページにたどりつくというものですが、ChatGPTが返してくるのは「答え」そのものだからです。

Googleに適切な検索語を入れるというのは、実はそれなりにコツが必要です。今のChatGPTの場合にも、話しかけ方によって結果が変わってくるような気もしますが、この点もどんどん改善されてくるでしょう。いずれ私たちの聞きたいことを「忖度」してくれるようになるのでしょうか。しかも、現在の検索エンジンとは異なり、検索結果に表示されたページを開き、リンク先でさらにその内容を理解する必要もありません。返してきた答えが難しければ、再質問すれば、回答してきた内容そのものを、さらにわかりやすく言い換えてくれるかもしれません。

自然言語で「対話」するというイメージが、どうしても先行してしまいますが、「人間の話し相手」のようなレベルにはとどまらず、幅広い応用範囲が考えられているようです。たとえば、大人が書いた文章を子どもでもわかるように修正するとか、文章を要約するといったものは当然考えられます。プログラムのバグをみつけるいったタスクも、人間よりも早くやってくれるという例も見かけました。
ChatGPTの使い方<26例>|入江慎吾 🚀 MENTA代表|note
https://note.com/iritec/n/n496881202f60

いくつか私が試してみた実例をご紹介します。まず、SDGs de はぐくむコラムのコーナーがある「立石勇生『SunnySide』」について、説明文を考えてもらいました。一応、番組名だけでなく、番組のプロフィールをある程度伝えてみて、300文字の説明文と30文字以内のキャッチフレーズを考えてもらっています。

質問:新潟のラジオ局、BSNラジオで、土曜午前10時から放送されている番組、立石勇生「 SunnySide」。5時間の生放送番組です。300文字程度で、リスナーが増えるような説明文を考えてほしいです。
回答:「SunnySide」は新潟のBSNラジオで土曜午前10時から放送される、5時間の生放送番組です。ホストの立石勇生が、新潟のイベントやスポット、地元の人たちとのインタビューなどを通じて、新潟の魅力を伝えます。さらに、音楽やゲストのトークなども交え、楽しい時間をお届けします。是非、新潟のラジオ番組として「SunnySide」を聴いてみてください。

質問:BSNラジオの番組、立石勇生「Sunny Side」についてですが、30文字以内でキャッチフレーズを考えてくれませんか?
回答:「”聴くと明るくなる! Sunny Side”」
質問:土曜日の10:00-15:00のワイド番組なので、その点も考慮するとどうなりますか?
回答:「”土曜の10時から元気に! Sunny Side”」
質問:生放送だという点も考慮したいです。どこか変わりますか?
回答:「”生き生き伝える! Sunny Side”」

どうでしょうか。当たらずとも遠からず、でしょう。キャッチフレーズについては、私の情報の与え方が足りないかもしれません。
知識が必要な質問については、知らなくても適当に答えてしまうので、結構まだ間違いがあります。次に、以下は新潟市の観光名所について、ストレートにきいてみた結果です。皆さんも、新潟やお住まいの町に関する質問をしてみていただければと思います。

質問:新潟市の観光名所ってどこでしょうね。
回答:新潟市には、河川・湖・山・温泉など自然豊かな観光スポットがたくさんあります。代表的な観光名所としては、以下のようなところがあります。
新潟県立湖の森公園: 新潟市にある湖の森公園は、新潟湾を一望できる絶景スポットです。
新潟県立自然博物館:新潟県の自然や文化を紹介する博物館で、恐竜の化 石などが展示されています。
新潟市歴史博物館:新潟市の歴史を学ぶことができる博物館で、新潟市の 町並みなども見ることができます。
新潟県立美術館:新潟県の美術作品を展示する博物館で、日本画や洋画な どが見ることができます。
新潟市中央公園:新潟市の中心にある公園で、新潟市を一望できる絶景スポットです。
これらは新潟市の中でも一部です。また、新潟市周辺には、温泉地や湖畔の散策スポット、山や河川など自然豊かなスポットもたくさんあります。

だいぶ間違いがありますね…。知識を問う質問よりも、アイデアを出してもらうようなものがいいのかもしれません。

「はぐくむコラム」でどんな話題を書いたらいいのか、普段私が悩んでいることを質問してみると、こんな回答が返ってきました。

質問:この番組で、SDGs de はぐくむコラムこどもたちの未来のために=SDGsをべースに、こどもをめぐる話題や暮らしに役立つヒントをお届けするコーナーとして「SDGsde はぐくむコラム」があります。私はICTに関わる話題をとりあげているのですが、次回何の話題をとりあげたらいいでしょうか?
回答:ICT(Information and Communication Technology)に関連した話題は、SDGsのいくつかに関連しています。 例えば、
SDG9: Industry, Innovation and Infrastructure
SDG11: Sustainable Cities and Communities
SDG17: Partnerships for the Goals
これらのSDGsに関連して、ICTを使った地域づくりや、環境保護に関する取り組み、今後のICT技術による将来の都市の構想など、多彩な話題が考えられます。また、ICTを使った教育や、子育てに関する話題も取り上げることができます。
特に、SDG9はICTを活用した産業の革新やイノベーション、インフラ整備に関連しているため、それらに関連した話題を取り上げることが有益だと思います。

質問:もう少し家族の生活に関わる話題からSDGsにつなげていきたいのですが、どうでしょう?
回答:SDGsには、家族や子育てに関連する話題がいくつかあります。
SDG3: Good Health and Well-being
SDG4: Quality Education
SDG5: Gender Equality
SDG10: Reduced Inequalities
SDG16: Peace, Justice and Strong Institutions
これらのSDGsに関連して、家族や子育てに関連する話題としては、健康や医療、教育、ジェンダー平等、格差の減少、家族や子育てに関連するジャストインスティチュションなど多彩な話題が考えられます。特に、SDG3やSDG4は家族や子育てに直接的に関連するため、それらに関連した話題を取り上げることで、リスナーにとっても興味深いと思います

私自身は普段、「はぐくむコラム」の雰囲気に適した、親しみやすいトピックを探しているので、その意味でまだ望んでいるような答えをChatGPTは与えてくれませんが、いろいろ考えてくれているようには見えます。私が過去に書いた記事を読んでもらったりして、いろいろ情報を与えていけば、もっと私の望むような答えが返ってくるかもしれません。

さて、子どもたちへの影響はどうでしょうか。今のところこのツールは無料提供されていますので、学校の宿題を、子どもたちがChatGPTにきいてみるというのは、当然考えられるところです(OpenAIの規約上は、利用登録ができるのは18才以上とされています)。日本の子どもたちが、いますぐChatGPTで宿題をやりはじめるような気配はありませんが、知識を問う「試験」のあり方が、改めて問われるということになるかもしれません。
すでに学校でのChat GPTの利用をどのように考えるべきか、話題が出始めています。AIチャットに聞いてわかるような知識を暗記させるよりも、その答えが正しいか検証したり、AIチャットのアイデアも活用しながら創作性を磨いたりするということになるのでしょうか。「批判的思考や問題解決のスキルを育てる」のに、ChatGPTは役立たないという、教育界の反応が、以下の記事で紹介されています。しばらくは、試行錯誤が続きそうです。

Chat GPT、スタンフォード大期末試験で使われまくる
ギズモード・ジャパン
https://www.gizmodo.jp/2023/01/chat-gpt-stanford-university.html

自然な回答のAIが話題に 米新興企業、利用禁止の学校も
新潟日報デジタルプラス
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/167042

もちろん、Chat GPTが返してくる答えは、もっともらしい体裁になっていますが、正しいとは限りません。「新潟の観光名所」の質問のように、ほとんど当てずっぽうのような内容もあります。また、フェイクニュースのような偽情報の混入を、どう防ぐかという問題もあります。

「チャットGPT」にフェイク生成指示で8割「成功」…でも時々、陰謀論を拒否する(平和博) – 個人 – Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kazuhirotaira/20230126-00334426

今のところは無料で公開されているChat GPT。チャットそのものは日本語で問題なく行うことができますので、日頃思っている疑問や、自分の書いた文章の添削など、100%信用せず、ある程度「遊び感覚」を保ちながら、試してみるのがよさそうです。

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
2月4日は、敬和学園大学人文学部国際文化学科教授の一戸信哉さんです。お楽しみに!

この記事のWRITER

一戸信哉(新潟市在住 敬和学園大学人文学部国際文化学科教授)

一戸信哉(新潟市在住 敬和学園大学人文学部国際文化学科教授)

青森県出身。早稲田大学法学部卒業後、(財)国際通信経済研究所で情報通信の未来像を研究。情報メディア論の教鞭を取りながら、サイバー犯罪・ネット社会のいじめ等を研究。学生向けSNSワークショップを展開。サイバー脅威対策協議会会長、いじめ対策等検討会議委員長などを歴任。現在:敬和学園大学人文学部国際文化学科教授。
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