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チェコのクリスマスマーケット

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2025年12月4日、日本を発ち、13日までチェコを訪れた。プラハ、ブルノ、オストラヴァ。目的は、WOMAN’S WORLD FLOORBALL CHAMPIONSHIPS 2025に出場する日本代表の応援である。娘は2023年に続き、2度目の世界大会だった。

予選リーグは4カ国(Norway「2:9」、Australia「2:2」、Nertherlands「5:7」、Japan)で戦い、結果は2敗1分で3位となり、決勝トーナメント進出はならなかった。だが、13〜16位決定戦ではSingapore「5:3」で勝利し、最終日の13位決定戦で宿敵Australia「3:2」を破った。世界の強豪国と真剣勝負ができたこと自体が、何よりの財産だったと思う。応援する立場からも、日本チーム、そして娘自身の課題がはっきりと見えた大会だった。次の世界大会に向けて、まずはゆっくり休んでほしい。

12月のヨーロッパといえば、クリスマスマーケットだ。5日はプラハ滞在。限られた時間の中、地下鉄の駅から「旧市街地」「カレル橋」「旧市庁舎・天文時計」「プラハ城」を半日で巡った。初めてのクリスマスマーケットは、とにかく人、人、人。何を食べるか迷った末、ビールと肉とポテトを注文した。

  

チェコ語は分からない。100gのつもりで頼んだ肉は、1kgを超える塊となって出てきた。ビールは文句なく美味しかったが、肉は食べきれず持ち帰り。旅行者あるあるの洗礼である。ホットワインも名物だが、「ここで酔って帰れなくなったら大変だ」と自制した。結果、道に迷い、駅までの行き方を2回聞いたのだから、判断は正しかったのかもしれない。

夕食はスーパーで買ったビールを、ホテルで乾杯。チェコは一人当たりのビール消費量152.1ℓで1993年から31年連続で世界一。0.5ℓが普通サイズなのも納得である。

6日はチェコ第2の都市ブルノへ移動し、夜は試合観戦。試合開始は20時、時差8時間の日本では早朝4時。現地入りして数日経っていても、さすがに身体には堪えただろう。

7〜9日はブルノの自由広場のクリスマスマーケットへ。授業を休講・補講と日程調整に応じてくれた学生たちへのお土産を選ぶ。広場のステージでは、未就学児と思われる子どもたちの発表会が行われていた。鈴の音、元気な声、意味は分からなくても伝わってくる一生懸命さ。とても温かな時間だった。
興味深かったのは、保護者のビデオ撮影が思ったほど多くなかったことだ。前列の人たちは、ただ静かに、目と耳に焼き付けるように観ていた。

記録と記憶。どちらを優先するかは、いつも難しい。スポーツ観戦では特にそうだ。娘の試合を撮影すると、どうしても全体の流れを見失うことがある。

予選リーグ最終戦、Nertherlands戦。負けはしたが、2ピリオド目から流れが日本に傾き、「追いつけるかもしれない」という期待感が会場を包んだ。ヨーロッパの本場の強さを体感しながら、次への課題もまた明確になった。

10日はオストラヴァへ移動。翌日の会場までの下見をし、トラムとバスを乗り継ぐ。Google MapとApple Mapを併用しながらの移動も、今ではすっかり慣れたものだ。これが初日からできていれば、どれほど余裕のある旅だっただろうかと、少しだけ恨み節も出る。
⇒次回のコラムでドタバタ日記を掲載します。

11日は13〜16位決定戦。OSTRAVA ARENA-Aメイン会場は厳重なセキュリティに守られ、入口には警察官が立っていた。決勝では1万人以上が入るというこの会場で試合ができること自体が、選手にとっては特別な経験だろう。観客は少なかったが、会場を盛り上げる工夫が随所にあり、心地よい空間だった。試合はSingaporeに5:3で勝利。

12日は試合がなく、街を一望できる新市庁舎の展望台へ。旧市街の向こうには近代的な街並みが広がる。その後、OSTRAVAのクリスマスマーケットで食事をし、値段交渉をしてみようか迷いながらカップを2つ購入。分からないことだらけだが、旅行者はそれでいいのだと思う。

13日、13位決定戦の最終日。ウォーミングアップ中、娘は珍しく視線を送ってこなかった。後で聞くと、疲労から朝方に微熱があったという。それでも最後まで走り切った。試合はAustraliaに2:2で延長戦へ。延長6分、日本のゴールが決まり、13位が確定した。Australiaは同じアジア・オセアニア地域で予選を戦ったことからライバル関係は、これからも続いていくのだろう。

14日、プラハを経由して帰国。12月のチェコは寒かったが、クリスマスマーケットはどこも華やかで、クリスマスを待つ高揚感に満ちていた。

無事に帰国し、ようやく一息。ちゃんと帰ってくることができて、本当にほっとしている。

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。12月27日は、新潟県立大学学生部長 大学院 健康栄養学研究科 教授 人間生活学部 こども学科 教授の伊藤巨志さんです。お楽しみに!

http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2025/12/27/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20251227100000

この記事のWRITER

伊藤巨志(三条市在住 新潟県立大学学生部長)

伊藤巨志(三条市在住 新潟県立大学学生部長)

1964年、三条市生まれ。日本体育大学大学院修了【体育学修士】、新潟大学大学院博士後期課程修了【博士(教育学)】。子どもの身体発育発達学、運動遊び、健康教育を専門に研究。新潟市寺山公園子育て交流施設「い〜てらす」低学年広場を監修するなど、遊びの中で運動を身につける「遊育」を推奨。現在:新潟県立大学学生部長 大学院 健康栄養学研究科 教授 人間生活学部 こども学科 教授。日本体育・スポーツ・健康学会、日本発育発達学会などに所属。
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