SDGs de はぐくむコラム

誰もが役割・出番のある地域共生社会づくり

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今回は「地域共生社会」という考え方から、地域でのSDGsの実践を紹介していきたいと思います。地域共生社会とは、年齢や障害の有無などに関係なく、一人ひとりが相互に、社会につながり、生きがいや役割・出番を持って助け合っていきていく社会のあり方です。
SDGsには「誰一人取り残さない社会」という理念がありますが、それとも共通していて、誰もが「支えられる」とともに、「支える」側にもなっている社会が望ましい、という考えです。
言葉にするのは簡単ですが、それを具体的に実現するのはどうすればいいのかイメージが湧きにくい部分もあります。そこで、地域共生社会の実現につながる挑戦をしている民間の取り組みを紹介します。

住民同士のたすけあいで困りごとを解決する
三条市で活動するNPO法人地域たすけあいネットワークでは、「たすけあい事業」という取り組みを行っています。住民参加型の福祉システムとして、住民が利用会員と提供会員として参加することができます。
利用会員は、雪かき・ゴミ捨て・墓掃除・草とり・通院の介助・子どもの見守りなど、さまざまなお願いをすることができます。一方の提供会員は、そのようなお願いに対して、自分でできることを有償で提供するという仕組みです。

たすけあい事業活用例(地域たすけあいネットワークのウェブサイトより)

提供会員は、地域住民が担っていますので、高齢になっても、障害を持っていたとしても、誰もが参加できる仕組みになっています。
特に地域の”元気高齢者!”の方が役割と出番を持っており、まさに地域の困りごとを、地域の方々の力で解決していく、誰もが「支える」側にも、「支えられる」側にもなる地域共生の取り組みです。

スポーツの力で全員参加による共生の実現
また、企業とNPO等との連携によって生まれている取り組みもあります。その一つとして、「アルビレックス・スマイル・プロジェクト」の就労支援をご紹介します。
この取り組みは、アルビレックス新潟、新潟市社会福祉協議会、一般社団法人I have a dreamなどが連携して行っているもので、デンカビッグスワンスタジアムで行われるホームゲーム開催時に、障がいのある方に継続的な就労機会を提供していき、就労移行につなげていくものです。
参加された方々とともに、スタジアム内の清掃やテーブル・椅子の消毒、ペーパータオルの補充などに取り組んでいます。ホームゲームを観戦されたことがある方は見たことがあるかもしれませんね。

就労支援の取り組みの様子(@ALBIREXNIIGATA)
私は昨年、スタッフ側で子どもと一緒に見学させていただきました。
その際、みなさま一人ひとり、とてもてきぱきと仕事に取り組まれている姿勢を拝見しました。また、サポーターの皆様から「ありがとう」と声をかけていただくこともやりがいに繋がっていると感じました。
回を重ねるごとに、学生も一緒に参加するなどあり方も変わってきています。就労機会の提供が一つの目的ですが、地域共生ということで考えると、ともに同じ場にいることも何よりも大切になるからです。

高校生もともに参加(@ALBIREXNIIGATA)

地域共生の芽を探そう、つくろう
今回は、2つの取組みを紹介してみましたが、地域共生という理念を実現するには、誰もが「参加する」という権利が保障されていることが大事なのだと感じます。
みなさんの地域ではどのような地域共生の芽がありそうか、探してみてはいかがでしょうか。また、誰もが共に支え合う、役割・出番のある地域づくりの取り組みをこれから始めてみませんか。
<参考>
NPO法人地域たすけあいネットワーク
アルビレックススマイルプロジェクト|障がい者就労支援 活動報告

   

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
5月7日は、石本貴之さん のお話をお楽しみください。

この記事のWRITER

石本貴之(三条市在住 地域づくりコーディネーター)

石本貴之(三条市在住 地域づくりコーディネーター)

1983年、大阪府生まれ。滋賀県立大学大学院環境科学研究科を卒業後、民間調査会社、環境省の情報拠点「地球環境パートナーシッププラザ」を経て、縁あって三条市に移住。新潟県内を中心に市民活動やソーシャルビジネス、SDGsを軸とした持続可能な地域づくりをサポート。一男二女のパパ。 現在:特定非営利活動法人まぢラボ 代表理事、一般社団法人全国コミュニティ財団協会 事務局長、カードゲーム「2030 SDGs」&「SDGs de 地方創生」公認ファシリテーター、総務省「地域力創造アドバイザー」など。
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