私たちが毎日暮らしている「家」。夏になると暑いですし、冬になると寒いですよね。けれども、”夏でも涼しく””冬でも温かく”さらに”エネルギー(電気やガス)の消費も少ない”こんな魔法のような家=「エコハウス」があります。
今回はその「エコハウス」とSDGsの関係を探ってみます。
環境に優しいエコハウス
環境省では、「環境基本性能の確保」「自然・再生可能エネルギー活用」「エコライフスタイルと住まい方」の3つを基本の考え方として、地域の特性を活かしている家をエコハウスと呼んでいます。
「環境基本性能の確保」は、断熱や気密、日射遮蔽、日射導入など、家に出入りする熱をコントロールすることです。冬は熱が逃げにくく、夏は熱が入りにくい家になります。「自然・再生可能エネルギー活用」は、太陽光や太陽熱、風力などを最大限に活用して、エネルギーを購入するのではなく、生産することです。
「エコライフスタイルと住まい方」は、家がどれだけ環境に優しいからといって、エアコンをガンガン使ったり、電気をつけっぱなしにしたりしているとエコではありません。
新潟市は全国2位!
実は、新潟市の家庭部門の二酸化炭素排出量が全国20の政令指定都市の中で、札幌に続いて第2位の多さです。もちろん、雪国だからこそ、冬の暖房などで多くのエネルギーを消費して、結果、二酸化炭素排出量が多くなっている面もあります。事実、新潟県全体では、家庭での二酸化炭素排出量の4割近くが暖房の使用で占められています。
2050年には二酸化炭素排出量をトータルでゼロにしようと宣言している中で、環境に優しい暮らしをするには、家そのものをエコにしていくという発想も大切になってきています。
エコハウスは健康にも優しい
ところで、「ヒートショック」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。急激な温度変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることです。特に、冬場に寒い脱衣所から暑い浴槽に入ることで起こりやすくなります。心筋梗塞、脳梗塞が起こったり、失神して浴槽内で溺れることもあります。年間1万人以上と、交通事故の2倍にあたる方が亡くなっていると言われています。特に高齢者がヒートショックを起こす割合が高いです。
ヒートショックを起こさないようにするには、室内の温度差を抑えることが大切です。断熱や機密の性能を高めたエコハウスをつくることは、環境に優しいだけでなく、人間の健康にも優しいのです。
エコハウスのびっくり体験!
これまで私もいくつかのエコハウスに訪れたことがあります。山形県にある「山形エコハウス」に訪れたのは夏でしたが、エアコン1台で2階も暑さを感じないほど。木製のトリプルサッシがあり、外と接する壁の厚みが40cmもあります。
岩手県紫波町にある「オガールタウン」には路面がカチカチに凍っている真冬に訪問しました。室内に入ったところ、暖房もついていないのにほのかに暖かく、全く寒くない…。朝少しの時間だけ暖房をつけたら、その余熱でほぼ1日過ごせるそうで、家の外に熱が逃げにくいのです。
私が借りている仕事場は国登録有形文化財指定されている戦前の建物で、断熱性能も低く、冬になると暖房をつけ続けないと凍えてしまいます…。
みなさんの家はいかがですか?
これからはエコハウスが当たり前に
家の中でも、夏は暑くて、冬は寒いのが当たり前だと思っていますが、この常識を変えていくことがSDGsにも貢献します。イギリスなどヨーロッパの国では、「暖かい家は人権だ」と考えられていて、最低室温を規定する法律もあるそうです。日本では、室温に関する法律はありませんが、2025年以降は新築する場合は断熱性能等を高めた省エネハウスにすることが義務化されます。
新潟県は独自に雪国型ZEHを始めるなど、少しずつですが、エコハウスを後押しする動きも出てきました。新潟エコハウス推進チームとして、民間の有志と行政で連携しているアクションもあります。
新潟の工務店さんでもエコハウスを手掛けているところが多くあります。
モデルルームなどでぜひ、体験してみるところから知ってみてはいかがでしょうか。
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
11月19日は、地域づくりコーディネーターの石本貴之さんです。お楽しみに!