今年は太平洋戦争が終わってから80年という年です。8月15日の終戦記念日を前に、みんなで「平和」について考えてみたいと思います。
『へいわってどんなこと?』(2011年 童心社) 浜田桂子 作・絵
「平和ってどんなこと?」と子どもたちに聞かれたら、大人たちは何と答えるでしょうか?
「幸せとは?」と聞いたら、人それぞれ違うものかもしれません。
しかし、そのそれぞれの幸せな毎日を過ごすための大前提として平和ということ、「戦争をしない」ということがあるのだとと教えてくれる作品です。
「平和」は誰にとっても同じでなければならないと改めて感じます。
作中には現在日本の子どもたちが当たり前に行なっている学校に通ったり、歌を歌ったりする様子が描かれています。実際の挿絵には世界各国の子どもたちが描かれています。
思いっきり遊べる幸せ、朝までぐっすり眠れる幸せ・・・そして1人ひとりの命の大切さが描かれている作品です。
『パンフルートになった木』(2020年 少年写真新聞社) 巣山ひろみ 作 こがしわかおり 絵
1945年8月6日 広島に原子爆弾が落とされました。
その時に爆発の中心地から約2キロメーロトル以内の場所で被爆し、その後芽吹いた被爆樹木が主役の作品です。
とある小学校の校庭でいつも子どもたちを見守っていたカイヅカイブキ。
「ドーン!」という凄まじい音と光と共に一瞬で全てを焼き尽くした様子を目の当たりにします。
そしてこの木もまた真っ赤な炎に包まれてしまうのでした。
黒焦げになりながらも、必死にその場に立ち続け、疎開から帰ってきた被爆しなかった子どもたちをまた見守り始めます。
そしてある日、この木にも新たな葉が芽吹くのでした。
長年平和を祈ってきたこの木も寿命を全うする時がやってきます。放置すれば倒木の危険があると判断され伐採されることになりますが、多くの人の協力を得てパンフルートという横笛になって子どもたちの元へ戻ってくるのでした。
被爆した樹木が芽吹くことが奇跡であり、周りの人々の希望の象徴にもなっていったのだと思います。
実話で知る戦争の話は大人でも読むのが辛い作品もありますが、こちらは平和へのメッセージがダイレクトに伝わり、二度と同じことが起きませんように・・・と心に響きます。
『へいわってすてきだね』(2014年 ブロンズ新社) 安里有生 詩 長谷川義史 絵
この作品は沖縄県与那国島に住んでいた当時小学校1年生が書いた詩に絵を描いた作品です。小学生が書いた素直で故郷を愛する気持ちがたくさん詰まっているこの詩は誰もが願っていることに通じます。
この詩は「これからも、ずっとへいわがつづくように ぼくも、ぼくのできることから がんばるよ」という文で終わります。
私は世界中の人々が自分のできることを考え、世界中の平和を考える時間が本当に必要だとこの作品を読むたびに伝えています。
最後に紹介する絵本は世界中で歌われている名曲を絵本にしたものです。
『IMAGNE イマジン〈想像〉』(2017年 岩崎書店) ジョン・レノン 詩 ジャン・ジュリアン 絵
みんなが平和に暮らすためには・・・それぞれが想像してみること。
より良い毎日を送るには世界をみんなで共有していることを想像して誰にでも優しく、平等で公正な態度をとるように・・・
と教えてくれる作品です。
絵本の中で1羽の鳩が自分が「夢見がち」と言われようと必死に飛び回り伝えたものをぜひこの絵本から感じとって欲しいです。
毎年8月15日はやってきます。
その度に改めて平和や未来の世界を考えなければいけないと思います。
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。8月2日は、絵本でSDGs推進協会代表の朝日仁美さんです。お楽しみに!