皆さんは、「ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)」という言葉を聞いたことがありますか?ISOは、日本を含む世界172ヶ国が加盟する非政府組織の国際機関で、本部はスイスのジュネーブにあります。ISO規格は、世界中で同じ品質やレベルのものを提供できるように、ISOが定めた国際的な基準です。
例えば、株式会社BSNウェーブは「ISO 9001認証」を取得しています。ISO 9001は、品質マネジメントシステムに関する規格です。この規格を取得している企業は、一貫した製品やサービスを提供し、顧客満足の向上に向けたマネジメントシステムを導入していることが証明されます。つまり、品質管理の体制が国際基準に適しているという証明でもあります。
ISO 9001の序文には「持続可能な発展への取組みのための安定した基盤を提供するのに役立ち得る・・・」と記載されていますので、これはまさに、SDGsのゴール9(産業と技術革新の基盤をつくろう)やゴール8(働きがいも経済成長も)などと深く関係していることがわかります。

BSNウェーブ
ISO 9001が最も有名な規格ですが、「ISO 14001(環境マネジメントシステムに関する国際規格)」も多くの企業が取得しています。ISO 14001を取得した企業は、環境保全活動に積極的に取り組んでいることが証明されます。ここでいう「環境」とは、海洋や森林といった自然環境だけでなく、取引先や政府、自治体、従業員、顧客など、企業を取り巻くすべてのステークホルダーを含みます。環境負荷の軽減が求められる今、ISOはさまざまなSDGsと関係しているといえます。
「ISOは身近ではないし、あまり関係ないかも・・・」と思われるかもしれませんが、実はとても身近な存在です。ISO規格には大きく分けて2種類あります。1つは「モノ規格」、もう1つは「マネジメントシステム規格」です。「モノ規格」は、製品そのものを対象にした規格です。例えば、クレジットカードの大きさは、世界どこに行っても同じです。これはISO規格で決まっています(ISO/IEC 7810)。日本のレストランでも、海外のレストランでも、クレジットカードが使えるのは「モノ規格」があるからです。
※IEC:国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)。IEC規格は、電気および電子技術分野に関する国際標準規格です。

モノ規格
一方、「マネジメントシステム規格」は、組織の運営や企業の経営に関する規格です。先ほどのISO 9001やISO 14001は、こちらのマネジメントシステム規格に該当します。
日本には「JIS規格(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)」があります。これは、日本の国家規格であり、製品やサービスの品質などを定めています。JIS規格は、ISOと整合性が図られており、国際的な標準に準拠しています。これにより、異なる規格の製品を作る必要がなくなり、コスト削減や資源の無駄遣い防止につながります。これは、SDGsのゴール12(つくる責任 つかう責任)に関連し、廃棄物の削減と資源の効率的な利用を促すことにもなります。ISOとSDGsの関係が、少し見えてきたのではないでしょうか?

SDGs講演会
長岡技術科学大学では、毎年SDGs講演会を開催しています。今年度は、「ISO視点で探るSDGsの未来~国際基準で考える持続可能な社会~」というテーマで実施しました。講演では、ISO規格の概要や基礎知識に加え、企業からの取組事例も紹介していただきました。ISOの視点から持続可能な社会の実現に向けた取り組みを考えるきっかけとなる内容でした。今後も、長岡技術科学大学ではSDGsに関するイベントや講演会を実施しますので、ぜひ、ご参加いただければと思います。
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。3月15日は、長岡市在住で長岡技大国際産学連携機構 特任講師/主任UEA の 勝身 麻美さんです。お楽しみに。