小さなお子さんを持つお母さんの悩みで、上位を占めるものって何だと思いますか?
食事に関して言うと、私が主催する講座や食事相談で一番多かった悩みが『子どもの好き嫌い・偏食』でした。
私自身、子ども達の離乳食が始まった日から、良く食べてくれる時期、急に食べなくなる時期、好きなものが嫌いに変わる時期、ブームの食材がある時期などなど、子どもには色んな波があり、その度一喜一憂した経験を思い出します。
わかるわかる!頑張って作ったのに食べてくれない時のがっかり感。
そうそう!意味もなく「嫌い…」と言って食べてくれない時のイライラ感。
ずっと続いてほしいと願う、食べてくれた時の嬉しさや喜び。
お母さんから聞く悩みは、いつかの自分の悩みそのもので、きっと多くの方が共感されることだと思います。時々は「毎日、毎食、その場面と何度も向き合い続けている私ってすごい!」「努力が報われないことが多い中よく頑張っている!」と、育児中の自分自身に優しく労いの言葉をかえてあげてくださいね。
そもそも、なぜ子どもに『好き嫌い・偏食』ってあるのでしょうか?
『好き嫌い・偏食』は単純に子どものわがままではなく、決してお母さんの育て方が悪いわけでもありません。子どもは成長の中で、味覚や感覚が変化したり、自分の意思を主張したりしたい時や、気分で『好き嫌い』をしてしまうことがあります。
また、口腔内の感じ方は個々に違うため、苦味や酸味、香りに対して他の人より敏感であったり、噛むことや飲み込むことが苦手だったり、感覚の問題に起因することも少なくありません。
講座や食事相談では、個々の成長や感覚に合った作戦を立てることもありますが、『好き嫌い・偏食』に色んな理由があるからこそ、まず一番に大切にして欲しいことが、生涯子どもが【食と良い関係】を築けるように環境を整えてあげることだと思います。
『好き嫌い・偏食』があるにしろ、食べる楽しみを知っていることは、挑戦するキッカケや人とのコミュニケーションを生み、自然の恵みや命、作ってくれた人への感謝へと繋がります。これが、生きる力『食能』の中の【食べる能力】です。
では、どうしたら食べる楽しみを知ることができるのでしょうか?
料理の簡単なお手伝いや、家族で楽しく食卓を囲んだり、ピクニックなどで楽しい思い出を作るなど色々ありますが、ハードルを上げなくても身近なところで、子どもの敏感な五感を活用してみるのも一つだと思います。
例えば、子どもにスーパーで食材を選んでもらったり、買ってきた食材を観察させてみるのはいかがでしょうか。また、食材の手触りや匂いを嗅いでもらう、料理の味見を任せてみるのもおススメです。食べる食べないは別として、子どもが食に興味を持ち、五感で感じてもうことから始まります。
『好き嫌い・偏食』は決して悪いことではありません。その子の食の個性を理解しながら、まずは食べる楽しみを知ることを一番に、子どもの色んな波を長い目で見守っていきましょう!