「子ども食堂」を知っていますか?新潟県内には現在、約100か所、新潟市内には約50か所の子ども食堂があります。
「子ども食堂」とは、『様々な理由で孤食などの状況にある子どもたちに、無料または安価で食事とだんらんを提供する取り組みで、子ども一人でも立ち寄れる場』と定義されています。貧困家庭の食の問題から始まった取り組みなので、貧困の方々が利用するところだというイメージがありますが、現在は貧困家庭の子どもを対象とするのではなく『子どもが安心して過ごせる地域の居場所』として開催するところがほとんどです。「地域食堂」「みんな食堂」という名称の所もあります。子どもだけでなく、誰が来てもいい場所であり、来てほしい場所です。
私たちNPO法人にいがた子育ちステイションが運営する「にいがた ふじみ子ども食堂」は、2016年1月に新潟で初めて子ども食堂をオープンしました。2015年6月に社会福祉協議会に勤務する横尾の声掛けによって久住、立松が集ったことがスタートでした。
横尾から「仕事をしている中で、ご飯を食べられない、お風呂に入れない子がいるが、仕事の中で支援できない。その子たちに、せめてご飯を食べさせたい。それと、施設を出ても、地域でうまく生活ができない人たちと地域の人とを繋いで、見守りなどに繋げたいと思っている。それには、子ども食堂というのがいいみたいだから、一緒に見に行かないか」という投げかけでした。
東京の「要町あさやけ子ども食堂」を見学した帰りに3人で「おばさんちにご飯を食べにおいでという感じならできそうだ」と話し合い、新潟に子ども食堂をつくることにしました。
立ち上げはかなり難航しました。前例のないことに対する抵抗力は大きかったです。しかし協力してくださる方々の温かさも大きかったです。地域の皆様のお力添えをいただいたおかげでスタートすることができました。
オープン当初は、ワンプレートに具沢山のお味噌汁で会食をしていました。そこでは、異年齢の子どもたち同士で遊んだり、大きい子が小さい子の面倒見たりする様子を観ることができました。小さいお子さんの面倒を学生ボランティアが見ていましたので、親たちはゆっくりご飯を食べることができました。
2020年2月、コロナはじわじわと広がり、“三密”を避けるために子ども食堂は中断を余儀なくされました。このまま、休止しようと思っていましたが、ボランティアさんの「こんな時だからやらなきゃ」という言葉と、JU新潟さんからの「何かできることがありますか?」の問いかけで、4月にフードパントリーとお弁当の配布がスタートしました。2023年3月には、200食近くのお弁当配布をするようになりました。
お弁当配布は、出来立てのお弁当を家でゆっくり食べられるという事もあり、好評でした。コロナにかかり外に出ることが出来ない家族にお届けすることもあり、それなりの貢献はあったと思います。
しかし、この4月から会食に戻りました。
私たちの本来の目的を考えると、会食しながら人と人が繋がって地域の中で見守り支援しあえる関係がそこから生まれていく場所でありたいと思っているからです。
コロナになり、マスクで表情が見えない、人との距離が心の距離のように離れているのではないか?等考えると、今一度人と人との関係性を作る仕掛けの一つとして、子ども食堂での会食が必要だと考えたからです。
オープン当初来ていた園児だった子は小学生や中学生になり、小学生だった子たちは高校生になりました。その子たちが、親と一緒に制服を着て見せに来てくれたりすると「大きくなったね、もう中学生になるんかね」と、子どもの成長を親と一緒に見られるのは嬉しいことです。親以外の大人が子どもの事を気にかけてくれている社会は、子育てや子育ちに優しい社会だと思います。
今回の会食再スタート、再会と新しい出会いとを楽しみにしています。
* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
4月15日は、新潟市在住 にいがた子育ちステイション理事長/子育て支援ファシリテーターの立松有美さんです。初登場です。お楽しみに!