SDGs de はぐくむコラム

子育ては沢山の人の手で

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子どもが泣き止まなくて、子どもと二人でいると子どもの口をふさいでしまいそうになるという親たちは少なくありません。

初めての子育てで、右も左も分からず、おっぱいやミルクをやっても、おしめを代えても、抱っこしても泣き止まない。ましてや、子どもと家の中で2人きり…。集合住宅ならなおの事ご近所のことも気にかかる。放り出して離れる訳にもいかなくて「泣きたいのはママの方」と叫びたい。

「うちの孫、何をしても泣き止まないって言うんだけど、娘の方がどうにかなりそうで心配。どうしたらいいと思う?」と、ばぁば達の情報交換会。「この前、ゆりかご学級で、親の臭いのついた服を持たせると寝るって言っていたよ」「実家にいる時は、じぃじがおんぶすると泣き止んで寝る」「じゃあ、じぃじのシャツを持たせてみたら」「そうしてみる」と言って帰った友達。次の日連絡がきました。「昼寝の途中で起きると、いつもはギャン泣き。持って帰った、じぃじのTシャツ持たせたらくわえて寝たって」それは良かった。ママも良かった、ばぁばも安心した、だけど一番喜んでいたのはじぃじだって。

新潟市では、6か月から8か月くらいの子どもを持つ親向けに「ゆりかご学級」をやっています。その講座の最後の方で「みんなで子育てトーキング」の回があり、私はそこで『子育て支援ファシリテーター』として親たちの話し合いを進める役割をしています。

寝るときに子どもに何を着せている?エアコンの温度は何度にしている?仕事復帰に向けての不安な自分の気持ちや、保育園選びのポイント。夫の帰りが遅かったり単身赴任だったりで、一人で子どもをお風呂にいれる時の工夫など、毎日の子育てを取り巻く様々なことをざっくばらんに話し合います。

「臭いのついた服を持たせると寝る」というのは、その話し合いの中で出てきたことでした。ネットの中に情報は溢れているけれど、顔の見える関係で、成功例を生の声で聞くことはネット情報よりも頭に残るような気がします。その時は困ってなくてもそこで語られたことは、子育ての知恵として親たちに蓄積されていきます。

「もう少ししたら、おさまるがね」と言われても、「今、大変なのよ!」と思う。その時に、子どもを持つ親同士で話すと「そうそう。わっかる~大変よね~うちもね・・・」と共感が得られたり、うちだけじゃないんだとほっとしたりします。「離乳食を嫌がって食べなかった時、スプーンを変えたら食べたよ。平らな感じのスプーン」と知恵や協力が得られます。同じくらいの子どもを育てている親たちが仲間になって子育てをするということは、このように知恵の交換がリアルになされるということです。

時代の変化が早く、じぃじ、ばぁばが子育てしていた時にやっていたことと今ではやり方や考え方が違う部分もあります。子育ての伝承が出来ない時代だとも言われます。親の親たちも、その時代のやり方で子育てした結果が今の親たちなのだから、それはそれで間違いじゃないとは思うのです。でも、親というのはよりよく子どもを育てたいと思うものだから、科学的な根拠で裏付けされたり、専門家が言う良いという情報があったりすればそうしたい気持ちになるのも分かります。

コロナ禍で子育てした親たちは大変でした。親の手も借りられない、外へ出られない、孤立した中での子育てでした。規制が緩み、子育て支援センターや公民館で集うことができるようになりました。人は人との関わりで成長します。だから、周りにいる人たちを巻き込んで大勢の人の手を借りて子育てしてくださいね。

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。
7月1日は、新潟市在住 にいがた子育ちステイション理事長/子育て支援ファシリテーターの立松有美さんです。初登場です。お楽しみに!

この記事のWRITER

立松 有美(新潟市在住 にいがた子育ちステイション理事長/子育て支援ファシリテーター)

立松 有美(新潟市在住 にいがた子育ちステイション理事長/子育て支援ファシリテーター)

1960年新潟市生まれ。子育てをしながら公民館や女性財団で男女共同参画やファシリテーションなどを学ぶ。2015年、「にいがた子育ちステイション」を設立。2016年、新潟初の子ども食堂「にいがた ふじみ子ども食堂」開設。子育て支援ファシリテーターとして公民館の家庭教育学級やNobody’s Perfect等の親支援プログラムのファシリテーターとして活動。アンガーマネジメントファシリテーター 産業カウンセラー NPO法人日本ファシリテーション協会新潟サロン世話人 ほか
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