SDGs de はぐくむコラム

南アフリカの子どもたちとのオンライン交流会

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2020年、コロナ禍によって子どもたちの運動不足や体験不足が社会課題となってしまいました。

これを背景に私たちの研究室ではオンラインを活用して、まだ出会ったことのない地域の子どもたちと運動会で交流する仕組みをつくりました。

当初は慣れないオンラインの仕組みと不慣れな運営、不安定な通信環境に苦労しました。
何度もリハーサルして、それでも当日は失敗の繰り返しでしたが、少しずつ良い運営ができるようになってきました。

あれから私たちの活動も4年が経ちました。オンラインを通じて様々な地域や国の子どもたちとつながることができました。そしてこの経験は、子どもたちだけでなく運営してきた歴代の学生たちにも大きな学びとなったはずです。時間を共に過ごしたみなさんには本当に感謝しています。

そして今年、新しい形で南アフリカの子どもたちとの交流がスタートしました。初めて出会う異国の子どもたちとの交流は刺激的な時間になっています。

今回のコラムは、学生たちが奮闘している南アフリカと日本の子どもたちとのオンライン交流会についてお伝えしたいと思います。

学生の友情から始まった日本と南アフリカのオンライン交流会

今回のオンライン交流会の目的には、それぞれの国の野菜を育てる体験を伝えあうことで相手の国の環境や文化などに興味関心を持ち、好奇心や探求心を養うことにあります。異なる文化に触れることで、子どもにとっての豊かな体験につなげてもらいたいという学生たちの想いがありました。

そもそもこのオンライン交流会が実現した経緯には、学生たちのつながりがありました。研究室の学生と南アフリカの留学生がお互いの夢を語っていたときに思いついたアイデアだったようです。友情から生まれたアイデアが実現したことで、多くの子どもたちも新しい世界を知ることになったのもワクワクするようなストーリーです。

今では子どもも大人も大勢が関わるプロジェクトとして展開されているのですから面白いものです。

これまでの交流会とこれからの予定

5月13日:翠松保育園(新潟市西区)×vanalo day care centre (South Africa)定植
5月22日:旭保育園(新潟市中央区)×dichirimo(South Africa)定植
5月23日:笠木保育園(新潟市西区)×Kwamahle ECD(South Africa)定植
6月11日:旭保育園(新潟市中央区)×Dichirimo(South Africa)定植
7月12日:翠松保育園(新潟市西区)×vanalo day care centre(South Africa)収穫
8月 6日:笠木保育園(新潟市西区)×Kwamahle(South Africa)収穫
8月19日:旭保育園(新潟市西区)×dichirimo(South Africa)収穫
これ以降も日程調整した後に実施予定

 

テーマは「食と農」それぞれの国で野菜の苗を植えることからスタート

これまで私たちが取り組んできた交流会は運動会によるものでした。それは身体活動量の確保という目的もあったからです。今回は新しいテーマでの交流会に挑戦です。そのテーマは「食と農」です。新潟市のSDGs未来都市に選定された理由でもある「食と農」を掲げてのオンライン交流会です。

さて、当日の詳細についてです。日本と南アフリカの時差は7時間30分。日本が15時00分で南アフリカは8時30分にスタートです。

はじめにプロジェクターに映るそれぞれの国の子どもたちとあいさつを交わします。はじめは緊張していたようですが、みんなで覚えたズールー語でこんにちは!と元気にあいさつができました。そしてスクリーンに映る南アフリカの子どもたちからは、こんにちは!と返ってきて、みんな驚いたような嬉しいような表情だったことが印象的でした。

さて、いよいよ野菜の苗の定植です。せっかくなのでそれぞれの国の子どもたちが何を植えたかを整理してお伝えします。

・翠松保育園(日本)ピーマン、トマト、なす、とうもろこし、きゅうり、かぼちゃ
・笠木保育園(日本)パプリカ、ピーマン
・旭保育園(日本)スイカ、パプリカ、インゲン、ピーマン
・VaNaroDayCare(南アフリカ)玉ねぎ、にんじん、いんげん、トマト、カラーピーマン
・kwamahleECD(南アフリカ)にんじん、トマト、キャベツ
・Dichirimo(南アフリカ)ピーマン、その他
苗を植えるだけでなく、それぞれの国の子どもたちが、好きな食べ物はなんですか?など質問しあったり、お互いの国の歌を歌ったり、交流らしい交流もできました。

これが第1回目の交流会です。ここから野菜が育つと共に子どもたちも一緒に成長し、それを違う国の子どもたちと確認しあう時間が続きます。


早くも収穫の時期になりました。詳細は放送本番でお伝えします。

夏野菜は育つのが早いようで、5月に植えた野菜もあっという間に収穫時期となりました。収穫の状況をお伝えしたくて、本コラムの原稿もぎりぎりまで投稿を延ばしてもらいましたが、残念ながら文章に落とし込むまでには間に合いませんでした。ラジオ収録前日12日金曜日に収穫が決まりましたので、詳細は生放送でお伝えします。

 

オンライン交流会の内容(収穫期)

【時間】

日本時間:15時30分~
南アフリカ時間:8時00分~

【ながれ】
・それぞれの国の言葉で挨拶
日本語:こんにちは!
ズールー語:Sanibonani!(サニボア二)

・1回目の交流会で植えた野菜の成長の紹介
ビデオ作成し、共有する
野菜をどのように食べたのか紹介
写真などで紹介
※旭保育園さんで料理や食べ方の写真
➡子どもたちに味を想像してもらう
④ジェスチャーゲーム第2弾「これはなんの味のかな?」
➡しょっぱい/すっぱい/からい/あまい/にがい/しぶい

⑤記念撮影
⑥お互いの言語で終わりのご挨拶
日本語:さようなら!
ズールー語:UsaleKahle!(ウサレガーシェ)

 

違う国だからこその学び

収穫前ですが、既にひとつ学生たちが学んだことがあります。もしかしたら農業をやっている読者やリスナーのみなさんは察してしまったかもしれませんが、日本と南アフリカの季節は逆なのです。日本は夏に向かっていますが、南アフリカは反対に冬です。ということは、植えた野菜の生育も違うということです。

実はオンライン交流会の際、子どもたちから質問が出ました。自分たちが半袖なのに、なんでスクリーンに映る南アフリカの子どもたちは長袖なのかと。とても良い気づきです。

ということで、収穫予定の野菜ですが、同じタイミングで収穫ができないというオチもついてくるのですが、学生たちも大いに学んだことでしょう。そのおかげで、もう一度、今度は南アフリカの収穫に合わせて会えるのですから子どもたちにとっては嬉しいハプニングなのかもしれません。

 

オンラインからリアルのつながりに期待が膨らむ

子どもたちにとって、南アフリカの子どもたちとの出会いはどんな意味があるのでしょうか。

今回驚いたのは、海外の子どもたちとのほんのわずかな接点であっても、相手の国の言葉に興味を抱いていたというところです。あっという間にあいさつを覚え、違う国の言葉を大切にしているようでした。

そして、日本側の子どもの「将来は何になりたいですか?」という質問に「ドクター」と答えた南アフリカの子ども。それを聞いた日本の子どもたちは何かを感じたような表情をしていました。

今はただオンラインでお互いの顔を見てあいさつ程度の言葉を交わした交流かもしれませんが、もしかしたら今回の機会が子どもの将来に影響を与え、いずれは海外に行って様々な国の人たちとリアルな交流をしたいと思うようになってくれたのなら、それこそが学生たちが意図することなのだと思います。

その日が来ることを楽しみにしながら、次回の交流会の準備を進めていきたいと思います。

 

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。7月13日は、新潟大学人文社会・教育科学系准教授 村山敏夫さんです。お楽しみに!

http://立石勇生 SUNNY SIDE | BSNラジオ | 2024/07/13/土 10:00-11:00 https://radiko.jp/share/?sid=BSN&t=20240713100000

この記事のWRITER

村山 敏夫 (新潟市在住 新潟大学人文社会・教育科学系准教授)

村山 敏夫 (新潟市在住 新潟大学人文社会・教育科学系准教授)

1973年 十日町市生まれ。新潟大学大学院修了。新潟大学SDGs教育推進プロジェクトに取り組み、SDGs未来都市妙高普及啓発実行委員会委員長、新潟市SDGsロゴマーク選考会委員長を担当。出雲崎町、上越市など地域と連携した教育・健康・パートナーシップの仕組みづくりも担う。
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