
虫歯は突然できるものではなく、毎日の小さな積み重ねの結果として現れます。同じように、毎日の小さな工夫で防ぐことができる病気でもあります。
今回は、子どもの歯を守るために知ってほしい「食事のとり方」のポイントをお伝えします。
1.ステファンカーブを意識する
食事をすると、お口の中のむし歯菌は糖分をエサにして酸をつくります。この酸によって歯の表面(エナメル質)は溶け始めます。この時、お口の中のpH(酸性・アルカリ性の度合い)の変化を示したものが『ステファンカーブ』と言います。
通常、お口の中は中性(pH7前後)ですが、食事をすると数分で急激に酸性に傾き、pH5.5以下になると歯が溶け始めます。その後、“唾液の働き”によって30~60分ほどかけてゆっくり元に戻ります。つまり、食べるたびに歯は“溶ける時間”を経験しています。
そこで問題になるのが『だらだら食べ』です。おやつを長時間かけて食べ続けたり、ジュースをちびちび飲み続けたりするとどうなるでしょうか。お口の中は何度も酸性に傾き、唾液が回復させる時間が足りなくなります。その結果、歯が溶ける時間が長くなり、灰化(歯が修復される働き)が追いつかないという状態が続き、虫歯のリスクが高まります。
大切なのは、食事やおやつの時間を決めて食べること。「食べるときは食べる」「食べない時間をつくる」というメリハリが、歯を守ります。
2.歯にくっつきやすいお菓子に注意する
虫歯になりやすいかどうかは『砂糖の量』だけではありません。特に注意したいのは、キャラメル、グミ、あめなど「お口の中に長く残るもの」や、クッキー、ビスケット、チョコレート菓子など「歯にくっつきやすいもの」です。これらは歯の溝や歯と歯の間に入り込み、長時間砂糖がとどまるため、酸が作られ続けやすくなります。
特に気をつけたいのが、夕食後の甘い飲み物やお菓子です。就寝中は唾液の分泌が大きく減るため、お口の中は酸を中和する力が弱くなります。その状態で磨き残しが少しでもあると、歯は長時間酸にさらされることになり大きな虫歯へとつながります。おやつは日中のうちに済ませましょう!
また、おススメなおやつは、小さなおにぎり、さつま芋やかぼちゃなど自然な甘みがあるもの、無糖ヨーグルト+バナナなどです。虫歯になりにくく、子どもの体づくりにつながる「第4の食事」として取り入れていきましょう。
3.飲み物からの酸蝕症
最近増えているのが、虫歯とは少し違う「酸蝕症(さんしょくしょう)」です。これは細菌がつくる酸ではなく、飲み物そのものの酸によって歯が溶ける状態です。例えば、炭酸飲料、スポーツドリンク、果汁ジュースなどは酸性度が高い飲み物です。
これらを頻繁に飲んでいると、歯の表面が少しずつ溶け、しみやすくなったり、歯が丸みを帯びたりします。「ジュースは特別なときだけ」「普段の水分補給は水やお茶」が基本です。
4.フロスの大切さ
実は、子どもの虫歯が最もできやすい場所は「歯と歯の間」です。ここは歯ブラシだけでは汚れが取りきれません。どんなに丁寧に磨いても、約40%はプラーク(歯垢)が残るといわれています。そこで大切なのがデンタルフロスです。
特に乳歯は歯と歯の間がきつく、虫歯ができると一気に広がりやすい特徴があります。1日1回、仕上げみがきのときにフロスを習慣にすることで、虫歯予防の効果は大きく高まります。
子どもの歯は、これから何十年も使い続ける大切な財産です。けれど、子育ては思い通りにいくことばかりではなく、甘いものを食べてしまう日もあれば、仕上げみがきがうまくできない日もあるかと思います。それでも大丈夫!虫歯は、ある一日の出来事で決まるものではなく、毎日の小さな習慣の積み重ねで予防できる病気です。
大切なのは「少し意識すること」。その小さな積み重ねが、10年後、20年後の歯を守ります。

* BSNラジオ 土曜日午前10時「立石勇生 SUNNY SIDE」の オープニングナンバーの後に「はぐくむコラム」をお伝えしています。3月7日は、管理栄養士のますがたみきさんです。お楽しみに!
